うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

舟を編む 三浦しをん 著


わたしが「う〜ん、これを日本語で言うとすると、う〜ん」と、サンスクリット語→英語→日本語での説明でモニャモニャしているのを横で見ていた女性が、「いつも言葉でうなっている人には、息抜きになりますよ」といって貸してくれました。
わたしはもともと現代小説をあまり読まないので、書店に行っても自分で選ぶことができません。なので原田マハさんの美術ものとか、身近な読書家がスッと差し出してくれたものを読みます。読んでいるうちに、ああなるほど、だから薦めてくれたのね。というのがわかるのもおもしろい。


この小説は読んでいるうちにどんどん日本語コンシャスになっていく。
「不甲斐ない」という状態は、甲斐があるということならないのか? なんてことを考える。



さっと差し込まれる表現が軽快で、たまに笑った。

おじさん同士の絆が暑苦しい。

そうなんだよなぁ。おじさん自体が暑苦しいのではなく、おじさんがなにかとつながると暑苦しいんだよなぁ。なんてことまでいちいち考えてしまった。




いちばん心に残ったのは、この言葉。

修行のためには言葉が必要です。
(中略)
記憶とは言葉なのだそうです。香や味や音をきっかけに、古い記憶が呼び起されることがありますが、それはすなわち、曖昧なまま眠っていたものを言語化するということです。

ヨガもそうなので、うなる。そう、こういうことなんだ。


わたしは60分以上の自分のための練習を、人に教える回数の倍やるようにしています。その自分の練習の時間の半分くらいは、頭の中で文章を書きながらいろんな動作をしています。わたしの身体データには「ああ、いまのこれを伝えたい」ということがいっぱいなので、なんだかいつもちょっとだけ違う要素が入ったクラスになります。
「よくもまあ毎回、いろいろ思いつくもんですね」と言われるのですが、新しいことはなにひとつ考えていない。


感覚と確度のことを書いているのに、マンガみたいにサクサク読める小説でした。


▼最近文庫になったみたいです。書店でよく見ます。

舟を編む (光文社文庫)
三浦 しをん
光文社 (2015-03-12)


Kindle

舟を編む (光文社文庫)
光文社 (2015-03-13)