うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ビジネスファッションルール 武器としての服装術 大森ひとみ 著


ウェブの仕事で「イメージコンサルタント」という仕事をしている人とお話しする機会があって、そういう仕事がそもそもあることや、その業界のお話を聞きました。
「イメージコンサルタント」はエグゼクティブ対応だけでなく、起業した人がワードローブを一新するためにお買い物に同行したり、メイクレッスンをしたり、そういうこともされるそうです。

ファッションや持ち物によるイメージの話は、哲学クラスで行う対話の実例にもよく登場します。
わたしは「ビジネスの場」「モノづくりをする場」「ストイックな修行道場のようなところ」「ナチュラルでおしゃれなヨガ空間」を行き来する生活をしているので、ヒールの音がする状態&ジャケットを着てヨガ空間に向かっても「意外」と言われるし、コインロッカーに入れてあるスポーツバッグを取り出して「お疲れさまでした」と仕事仲間と別れるときも「意外」と言われる。服装って、ほんとうにむずかしい。

この本はいわゆるキャリア・ウーマンだけでなく、わたしのようにいろいろな仕事をしている人にも役立ちます。

<140ページ 地方公務員、教師、スポーツインストラクター、福祉関連なら、親しみやすいスポーティなスタイルを! より>
こうした職業で、相手の期待に応える服装とは、第一に「親しみやすさ」。そして、活動的でカジュアルなスタイルを目指します。あまりにビシッと決めていると、相手を威圧したり、収入に対していらぬ憶測を呼ばれたりします。また、身体を動かす気持ちがないのかと思われてしまうかもしれません。

「収入に対していらぬ憶測を呼ばれたりします」ってのが、おもしろい。でも、そんなものなのだろう。



服装を整えることは単なる自己満足ではなく、相手への敬意の表れであり、思いやりであることを忘れてはなりません。(21ページ)

ということなんですよね。うん。



以下は、確かに! と思った。

日本人はいままで、「ハイコンテクスト文化」といわれる、生活習慣、体験、価値観など共通性の高い環境の中にいて、伝える努力や自己表現するコミュニケーションスキルがなくても、なんとなく察してもらえ、通じ合うことのできる傾向が強くありました。そのため、服装などの見た目の印象が、ビジネスに大きく影響するという考えをあまり意識しませんでした。
(23ページ)

こういう視点から切り込まれると、たしかに見た目は重要だ。




この本のいいところは、業界の風土などもある、という前提で書かれていること。たとえばウェブの業界だと、すごくコンサバなファッションの人と打ち合わせした後に「なんか決定がいろいろ遅そう」という印象を受けるから不利だったりする。そういうところも踏まえたうえで、「稼げるファッション」という定義がある。

親近感を得るほうが稼げるのか、憧れられるほうが稼げるのか、威圧する方が稼げるのか、安心感を与えるほうが稼げるのか、業界、職場、職種、地位等によって異なりますが、目的は同じだということです。(34ページ)

これはすごくわかりやすい。




以下は、メモメモ。と思ってメモした。

  • 厚手のツイードは無地であってもデザインによっては、有閑マダムやお受験ママっぽく見えてしまうこともあります。(59ページ)
  • 絶対にしてはいけないことは、いままで着ていた服と無理やり組み合わせることです。(93ページ)
  • オペラなどの観劇の場合は、甲があり、靴音がしないタイプが望ましいといえます。(120ページ)
  • スカート丈は、そのときの流行により微妙に変化しますが、ひざ下からプラスマイナス五センチを目安にします。いわゆる皇室ラインと呼ばれる、ちょうどひざが隠れる長さであれば万能です。(中略)深い長椅子に座ると、一〇センチは短くなるのでさらにリスクが高まります。(192ページ)

立ったり座ったりのことって、むずかしい。



以下はまろやかに書いてあるけど、ほんとうにそうだと思う。

謝罪には、持っているスーツの中で、いちばん地味に見えるスーツが適しています。
色柄を抑えて、遊びのないトラディショナルな無地の濃紺のスカートスーツを選択し、誠実さを伝えます。赤系の暖色やアクセサリーはすべて避けます。
ヘアスタイルはきちんとまとめ、ネイルはとるか、透明にします。

服装や身だしなみが原因で、二次クレームを引き起こさないようにすることです。デリケートなときですから、不満やクレームを対応者の服装や身だしなみにすり替えられてしまうことがあるからです。
相手を刺激しない服装を心がけましょう。
(111ページ)

不満やクレームを対応者の服装や身だしなみにすり替えられてしまう、って、別にお詫びが必要になるほどのことでない場面でも、雑談ベースでもある。
「ヨガの先生が毛皮着てた」って批判する人も世の中にはいそうだし、まえにヨガの生徒さんが「ヨガマットを持っているだけで電車で席を譲らなければいけない気がしてしんどい」と言っていた。なんか、すごくよくわかる(笑)。


わたしは他人と親しくするかどうかを考えるときに、「みなす」ことをしがちな人なのかそうでないのかというのを見る癖がある。「みなす」ことをなるべくしないように心がけている人とは、ゆっくり仲良くなれる気がする。
でも日常の社会ではこの本にあるようなことも大切にしたほうがよいのだろう。余計な想像をさせないことも親切のひとつで、必要最低限の武装は必要ってことなんですよね。