うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

楽園のカンヴァス 原田マハ 著


いまどきの小説を読みたい気分になって、読んでみました。
はじめはすこし退屈な話に感じて入りにくかったのだけど、「試合」のようなものが繰り広げられるモード以降はイッキ読みしたい気持ちに。毎週とても楽しみなドラマを見るような感覚で、毎朝の通勤で1章ずつ読むのが楽しみな1週間を過ごしました。
あまり絵画に興味のなかった人が小説を読んで興味を持ったり、美術館に行きたいと思わせるというのはすごいこと。ピカソやルソーを囲む集いの描写はアンディ・ウォーホルのNYの映像を観るようでワクワした。「ぜんえい」ムードのワクワク感。

ここのところ夏目漱石のデコラティブで意味深な表現ばかり目にしていたので、すごくプレーンな文章に感じたけれど、終盤の会話に出てくる「私のほんとうの正体」というちょっとひっかかる日本語の挟み方とか、奥ゆかしくて小粋。読んだ後、「健康で文化的な最低限度の生活」をはるかに超えた気分になれる、庶民を精神的にすごく遠いところに連れて行ってくれる。
こういう小説が売れているというのは、いい世の中だと思う。


▼紙の本

楽園のカンヴァス (新潮文庫)
原田 マハ
新潮社 (2014-06-27)


Kindle

楽園のカンヴァス
楽園のカンヴァス
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新潮社 (2012-07-06)