職場で近くの席の女性が「うちこさんに、貸したいマンガがあるのぉ〜」といって今朝渡してくれたのを帰りに読みきっちゃった。バスで読んでいたのだけど、チラ見されたらだめな漫画だけど、手が止まらない。残酷だなぁもう。
帯の背面にある「自意識の不良債権を背負ったすべての男女に贈る」の言葉が全てを物語っている。あとがきにあったのだけど、わたしも「こういうコンピレーション・アルバムで歌っている女性って、これ以外にどこで歌っているのだろう」とふと思ったことはある。でもここまでストーリーにするのはすごい。最後のオチに使われているナチュラル系の雑誌に登場し紹介される文体の再現とか、すごくツボでした。
男性が主人公の作品も、いろいろ思い出して胸が締めつけられました。これってジャンルはサブカルだけど、「意識高い系だけど行動する前に意識だけ高すぎて経験を積ませてもらえないスパイラルにおちいる高学歴青年」にも当てはまる。たくさんあるんだよなぁこういうこと。自意識は輪廻している。
なにがうまいかって、「再現し具合」なんだろうなぁ。
話自体はどれも身も蓋もないし痛いし苦しいのだけど、要所要所の描写に出てくる再現し具合のあるあるポイントが救ってくれる。
セルフヌードが雑誌に普通に出ていた時代があってね、って、いまのヤングに話してあげたくなる。昔は雑誌が花形だったんだよねぃ。そしてそこに向かう自意識を発散させるセルフ・メディアが登場したというのは、つくづくおもしろい時代だなぁ。
アメブロでアップの自撮り写真をたくさん載せている35歳以上の女性ヨガインストラクターがこの漫画を読むと、第一話で立ち直れなくなる可能性があります。
そういう人は読まないほうがいいです。ほんと、読まないほうがいいです。たぶん。
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