ヨギの探偵が事件を解決していく短編集で、この続編となる「しあわせの書」という作品がとても有名らしいです。
「しあわせの書」だけでも楽しめるのですが、せっかくなので前段のこのお話から読んでみました。
ヨギガンジーが本物すぎて、最初の作品から笑える。この人はリシケシで修行を積んだという設定が続編で明らかになるのだけど、事件解決中にちょっと待たされたりして暇になるとすぐ倒立をするので、読んでいるとやりたくなる(笑)。
倒立は「ツリキのポーズ」と書かれていて、この表現、どこかで見たことがあるけど思い出せない。どこ系統のヨガだろう? などとマニアックな憶測も楽しむことができました。
帯つきの古本を入手したのですが、帯のコピーがいいですよ。
意表をつく犯罪にヨーガの極意と秘術で挑む。
昭和62年の作品で、新潮文庫の広告キャラクターは陣内孝則氏。
(ちなみにこのキャラクターの変遷を「新潮文庫のささやかな秘密」というほぼ日刊イトイ新聞の記事で発見。おもしろい……)
ミステリーなのでネタバレしちゃうから細かいことはかけないのだけど、セリフもいちいちおもしろい。
「いや、霞以外の食べ物は、あまり身体に合いません……」(60ページ)
食べるときは食べて、食べないときは食べないコントロールをするの。
「屍のポーズちゅうのは、ごちゃごちゃになるのより難しいもんでっせ」(181ページ)
最もむずかしいアーサナといわれておるからの!
「ヨニではありません。ヨギです。ヨギガンジー」(277ページ)
温泉場でのシモネタ。
「いえ、研究はしておりますよ。私の新種なら、ヨニカトレヤという……」(292ページ)
ある女性のヨニに執着する流れででてくる。細かい(笑)。
トリックもヨーガ的になかなか深い。
その話「あるヨギの自叙伝」にでてきそう …… と思うような話も。
いろいろなにげに深いというか、笑いながら読めるヨーガ奥義書になってるのがすごい。
収録された短編は7つのシッディを扱っています。
びっくらこいたよ。なかでも「王たちの恵み」は名作。