うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ヨガ屋さんへの広告営業の電話に代理で出てみた

ヨガ屋さんの電話が鳴って、受付の人が忙しそうだったので「出ましょうかー?」「お願ーい」なんて感じで出たら、場所やクラスの時間の問い合わせではなく、ネット広告の営業の電話でした。
こういう話って、むずかしそうで、よくわからないですよね。わたしも、IT系の知識がなければ理解できなかったと思います。
ネットのしくみのことは、よくヨガの友人からも質問を受けます。
今日は広告の説明の理解の仕方について、ヨガ関係者目線で書いてみますね。



今回の電話は、
「芸能人が取材にきて記事を書いて載せてくれて、A4の半分くらいの記事で73,500円です。」
というお話でした。
その説明のあと、

  • その芸能人はこういうテレビに出ていて女性に人気で...
  • いつも記事の効果が高く...

などの「アナログ情報」が説明されました。印象ですね。いわばマーヤーです。
そこで、いくつか聞いておいたほうがいいかなと思ったことを質問してみました。

うちこ:その73,500円というのは、掲載費ですか?
営業さん:掲載費ですが、制作費も含まれております。
うちこ:そうですか。では1ヶ月後にもう1ヶ月延長したい、となった場合は、制作費はなく掲載延長費をお支払いする感じでしょうか。
営業さん:はい。制作費が63,000円、1ヶ月分の掲載費が10,500円なので、もし延長を希望される場合は、掲載費を日割り計算する形になります。

値段と期間の確認ができました。「掲載延長費」って、けっこう大事ですよ。
なんで大事かというと、本体の(たとえば学校の)ウェブサイトから「○○に掲載されています」というリンクを貼れたりしますから。



このあと、あとでヨガ学校のお姉さんから質問を受けそうなことを、あらかじめ聞いてみることにしました。

うちこ:反響はどのくらいありますか?
営業さん:ええ、たとえば○○○さんなど、同じような業態のかたがいまご出稿されています。
うちこ:あ、ここにバナーのあるこの学校ですね。月間でどのくらいの入会があるとか、目安になる情報はありますか?
営業さん:それは記事の内容にもよりますので、うにゅにゅにゅにゅ・・・
うちこ:まあ、そうですよね。
ところで、記事は1ヶ月載せたらなんページビュー(以後 PV)くらい出ますか?
営業さん:当サイトは月間500万PVで、400社の記事掲載があり、月間45万PVです。
うちこ:この学校の記事が載ったとして、その記事のPVは、45万÷400=平均1125ということですか?
サイト全体ではなく、その記事ページの月間PVはいくつ出ますか?
最小どのくらい・最大どのくらいという感じでいいので、教えてください。
営業さん:3000〜1万です。


わたしがはじめに「受付業務のものがいま手が離せないので、わたしは代理のものですが、お話を承ります」といって出たので、聞きすぎではあるのですが、もう少し聞きました。

営業さん:あの、詳しい資料をメールでお送りしたいのですが。
うちこ:はい。
営業さん:今日はそのご承諾をいただきたいという旨をお伝えしたく……
うちこ:はい。こういう電話があり、こういうメールがくるというのを伝えますので、大丈夫ですよ。
営業さん:そうですか! ではご担当のかたにぜひ資料をご覧いただいて、ご興味があれば説明をさせていただきたいと思います。
うちこ:はい、興味があれば返信がいくと思うのですが、ちなみにその3000〜1万PVってのは全国からのアクセスですか?
営業さん:はい。全国です。のちほど資料をお送りします。
うちこ:媒体資料ですよね?
営業さん:はい。
うちこ:わかりました、では伝えますので、怪しみませんので心配しないでください。
営業さん:ありがとうございます。

って感じで終わったあと後日資料の内容を聞いてみたら、大事な情報のない資料でした。



大事な情報というのは、最低限、以下です。

  • ユーザーのアクセス地域属性(東京の学校を大阪在住の人に宣伝してもしょうがない)
  • 男女比や年齢などの人間属性(女性専用の学校を男性に宣伝してもしょうがない)
  • ユニークユーザー数(一人の人が10ページみても1とカウントされる人数の目安になる数字)

そもそも話の始まりが「その芸能人さんの時間が急に空いたので、来週取材にいけますよお得ですよ」という流れでした。
「○○○さんは有名ですからわたしも知っていますが、ユニークユーザー数はどのくらいですか?」という質問をしたら数字の回答がなく、資料を送りますと流されていたので、資料にあるのかと思いきや、ありませんでした。
タレントさんのネームバリューで、数字の説明抜きで反応する人向けの電話に、わたしが普通に絡んでしまったということのようでした。



なんだこの、数字の質問をすること自体がアウェーな雰囲気は!



お姉さんには「ページビュー単価24.5円のネット広告の勧誘電話でしたぁ」と伝えました。
「ああいう電話はしょっちゅう来るのだけど、こういう計算したことなかったわ。広告は校長の気分ひとつだからねぇ」と(笑・ナベツネさん的な状況らしいです)。



さて。この広告は、実際どのくらいの効果が期待できそうか、先の例を具体的にシミュレーションしてみましょう。
取材に来てくれるタレントさんは、誰でも知っている48歳のアクティブできれいな女性です。女性には人気があるんじゃないかな。なので成約率は高めの設定で、それ以外の数字はコンサバなヨミでやってみます。

  • 3000PVのうち2割が同じ人だとして、×80%=2400(人数を割り出す)
  • うち、東京都在住の人が6割と仮定

 ⇒2400×60%=1,440人の東京人が目にする

  • うち、ヨガに興味がある人が3割とする(そのサイトは英会話や料理教室なども含んでいた)

 ⇒見込み顧客指数として×30%=432人

  • うち、通える圏内の人が5%とする(東京いうても広いからね)

 ⇒×5%=21人

  • 会員成約率を30%とする

 ⇒6人が入会

6名の入会促進に73,500円。この会員獲得の投資を高いと見るか安いと見るか。
教室の場所が新宿、渋谷、池袋のような場所だと圏内人口倍率が変わるでしょう。
会員成約率もその学校によると思うのだけど、今回は男女の係数を計算できなかったので30%にしてみました(えいやっと決めた。根拠なし。でもウェブの記事広告経由で3割って高いと思う)。
雑誌記事広告の感覚でウェブに展開するものだと100万円以上なんてのも珍しくないし、実際そういう相場の世界だし、こういうシミュレーションはどんどんむずかしくなっています。

ヨガプレイスを運営する人で、インターネットの広告に慣れない人はまだ多いかと思うのだけど、自分でコストバランスがイメージできないままの投資は、特に記事広告は、福袋を買うのと同じです。
もし地域に根づいたヨガ教室であれば、地域イベントでの告知に投資するとか、地域に密着したウェブサイトに広告を出すほうが効果的かもしれません。
もしクラスで瞑想やマントラをやっているなら、ヨガの専門サイトやヨガ雑誌に広告を出すほうが、あとあとのことも考えたら賢い選択でしょう。
常連さんがたくさん居るなら、その方たちにメリットのある還元するほうがよいってこともあると思う。



広告を利用するときは
「その広告を見る人の人数や、興味のありそうなことをイメージできるか。」



最低限ここだけは、冷静に見極めましょう。頭でイメージするのではなく、紙に書いてみましょう。



この電話をして来た営業さんは、ゆるい人だったなぁ。
「いいなぁ〜、インターネットがはじまったばっかりみたいなこの雰囲気、ワクワクするなあ」と、ほっこりしました。
「騙されてもいいや」ではなく「騙されたと思って」「騙されちゃった☆」という気持ちって、楽しく生きる秘訣だわ。
そんなことを思ったりしました。