うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ヨガの動作の傾向と、身体の癖

だからカカト床っていってんのに(笑)
今日は以前紹介した手嶋昇さんの書かれた「姿勢保健均整法」を引用しながら、ヨガ目線でわたしの個人的研究考察を書きます。
身体均整法で見る場合は両脚を揃えて立たせ、目を閉じて全身の力を抜かせるという方法で、こうすると身体を維持することが困難になり、肉体本来の矛盾が出てくるという考え方です。ヨガのアーサナの場合はもう、とにかくいろんなポーズをとる。なので、アプローチの手法は違います。


「姿型(姿勢法)」「種(体癖)」というのは、ひとりの人がいくつも傾向を持っています。ブレンド具合という感じなんですね。その「ブレンドの要素」のなかでも、ヨガのアーサナで見える特徴で、いくつか「観やすい」ものがあります。
自分でやっていてわかるものもあるし、本人は無意識な癖なのだけど、人が目で見てわかるものもある。
以下は、「姿勢保健均整法」の各姿型解説にある動作特徴だけを抜き出し、オマケで(うちこのヨガ目線)を加えたものです。アーサナの場合だと、こっちのほうが説明しやすいので、今日は均整法で。

■第1姿型(陽性の頭脳型)

  • 膝で身体の調節をし、膝が前に出て重心を爪先にかけている腕が前の方にでている。
  • 前側運動系が抑制的に、背側運動系が興奮的に動く。

(うちこのヨガ目線)
→腕はほとんどの人が前に出るライフスタイル(端末いじりが長い平成史)なので、あまり参考にできなくなりつつある。
→「膝で身体の調節をし、膝が前に出て重心を爪先にかけている」がポイント。
→前側、背側の話は、ヨガではすごくいろいろな体位があるので、立位と膝立ち(ラクダとか)でまた見え方が違ってくる。




■第2姿型(陰性の頭脳型)

  • 膝で身体の調節をし、第1蹠骨部が未発達、もしくは力のはいらない体勢で、体勢が後方に傾き、重心が踵にかかっている。
  • 背側運動系が抑制的に前側運動系が興奮的に働く作用が強い。

(うちこのヨガ目線)
→「重心が踵にかかっている」かつ、第1蹠骨部(ざっくり拇指球あたり)が未発達=「外側重心」というのはかなり多くの人に見られる傾向。外国育ちの人になると、拇指球は弱いのに踵の内側に体重が乗る人が多かったりするのがおもしろい。
→前側、背側の話は第1姿型と同様。




■第3姿型(陽性の左右型・消化器型)

  • 左足の足関節が開大していて、左足に重心がかかる。
  • 左半身の運動系が抑制的で、右半身の運動系が興奮的に働く作用が強く、左下肢と腹側を支点として重心を調節している。

(うちこのヨガ目線)
→足関節というのがどうにもざっくりだが、いったんは蓮華座で見ることにしている。そうすると、この姿勢の人はとても少ないということになる。なので、木のポーズで確認したりする。土踏まずを使えない度合いが極端に高いほうがあれば、参考にする程度。
→左右半身の話もヨガだとバランスをとる複合的な要素が多いので、肩甲骨と骨盤の平行からズレる分の寄り合いで見ている。
→でも野口整体では、女性にこの傾向があるということなので、別途潜在意識的なことは、なにげない恋愛感トークなどでフムフムと確認したりする(変態・笑)。




■第4姿型(陰性の左右型・消化器型)

  • 第3型と全く逆。

(うちこのヨガ目線)
→第3姿型の反対なので、圧倒的に数で言うと 4>3 ということになる。で、実際、時代的に増える傾向の種ではないかと思っている。




■第5姿型(陽性の回旋型・泌尿器型)

  • 右上半身と左下半身の運動系が抑制的に、左上半身と右下半身の運動系が興奮的に働く作用が強く、上体を捻じる体位を支点として重心を調節している。

(うちこのヨガ目線)
→第5はよくわからないので、上半身のねじれ方向、下半身のねじれ方向に分けてみることにして、この対角線上の見かたはハラオチする(見えてくる)まで気にしないことにしている。




■第6姿型(陰性の回旋型・泌尿器型)

  • 左上半身と右下半身の運動系が抑制的に、右上半身と左下半身の運動系が興奮的に働く作用が強く、腰部を後にひき、捻る体位を支点として顎と膝で重心の調節をとっている。

(うちこのヨガ目線)
→第5と第6はよくわからないのは同様なのだけど、これは鷲のポーズでたまーにわかりやすい人に会ったりする。日本人は遠慮しながらアーサナをするのでこれがよく見えにくいのだけど、実際はけっこう多そう。腹はヒくが顎は上げるという、精神的に複雑な状況を生む形になりやすいので、あまりそこを誘発しないほうが良いのではないかと悩んだりする。




■第7姿型(肋骨型・呼吸器型)

  • 上半身の運動系が抑制的に、下半身の運動系が興奮的に働く作用が強く、肩の動きが特徴的で、胸部で重心の調節をとっている傾向がある。
  • 平生は上体が反っているが、緊張すると前かがみになる。

(うちこのヨガ目線)
→シャバーサナで「手のひら天井に向けてね」とよく注意される人は、このケがあるのではないかと睨んでいる。




■第8姿型(肋骨型・呼吸器型)

  • 下半身の運動系が抑制的に、上半身の運動系が興奮的に働く作用が強く、下半身で重心の調節をとる傾向がある。
  • 身体の弛緩時に肩を前に出す癖がある。

(うちこのヨガ目線)
→ハイヒールに慣れた女性は、もともとこれを持っているので履けるのではないかと思っておる。




■第9姿型(骨盤型・生殖器型)

  • 臀部運動系が抑制的に、腹部運動系が興奮的に働く作用が強い形態で、骨盤と第1蹠骨で重心の調節をとる傾向があり、小股にちょこちょこと歩く。

(うちこのヨガ目線)
→アシュタンガが上達すると、こういう傾向が強くなっていくのではないかと睨んでいる。




■第10姿型(骨盤型・生殖器型)

  • 腹部の運動系が抑制的に、臀部の運動系が興奮的に、臀部を左右にふって重心の調節をとる傾向がある。

(うちこのヨガ目線)
→残念ながら極端にアーサナ観察での知人サンプルが少ない種。歩き方観察だけで言うと、つま先開き女子はこの傾向が強い。SNSを異常にやるか異常にやらないかに分かれる気がする。




■第11姿型(筋肉型・循環器型)

  • 全運動系が抑制的に働く作用が強く、膝と爪先と外側で重心の調節をとる傾向がある。

(うちこのヨガ目線)
→1姿型と区別がつかない。




■第12姿型(筋肉型・循環器型)

  • 運動系が興奮的に動く作用が強い。
  • 身体をくねらせて重心を調節する傾向があり、可動性が部分的に過大、動作がスローモーションである。

(うちこのヨガ目線)
→まったくわからない。


わたしがヨガ目線で「こういうことかな」と思っているのの例を一つあげると、以下。思いっきり経験則による私見です。
頭脳型というのは特に男性に顕著で、女性でもその半分くらいの割合で見ます。
なかでも1姿型(1種)はわかりやすくて、これは写真とともに(ヨガ友がモデルをやってくれました)
腕の動きに制限が入っている状態で



「踵を床に、頭骸骨を上に、息を吸って伸びます」


というと、
「踵を床に」と言っているのに、


どうしても一瞬爪先に乗って伸びずにいられない人というのが、けっこうな比率でいらっしゃいます。
腕も膝も制限されていたら、「そうくるかぁ」と。


はじめは吸う呼吸(胸郭とともに上がる感じ)につられているのかと思っていたのですが、わりと強めに「踵で床を押して」なんて言ってみても、「ちょいとね」という感じでやっぱり踵を浮かすことをやっている(笑)。
「男性に顕著」と書きましたが、これが女性に出てくると、「わっ。出たーっ☆」とちょっと楽しくなっちゃったりします。
サンプルは少ないのだけど、女の場合は型番10か1じゃねーかな、なんてことを勝手に妄想したりします。



 耳から入った指示を、【体癖さんが】上書きする(←ここがおもしろい!)



人間って、かわいいわぁ。この人、アーサナのカンがいいなぁ、なんて人も、これをやる瞬間は関係ない。
頭がいい人でもやる。いやむしろ、そのほうがやる。ゆえに、頭脳型か!





5姿型と6姿型(5種と6種)も、はじめはわかりやすいと思っていたのですが、ヨガの動作で見ようとすると奥が深かった。
特にいま30代以下の人は、後ろから見て背骨がまっすぐではない、微妙なカーブをもっている人がすごく多い。これは現代の身体の特徴によるものなのか、ヨガで観ているから混乱しているだけなのかはまだわかりません。
こういうことはかなりの数を見て、「そうだろうな」と思わないと書けるまでには至らないのだけど、感覚的に蓄積されています。
身体均整法や野口整体、井本整体、沖先生の修正体操の本を読んで答え合わせをしても、「現代人の生活条件と身体」「コンスタントなヨガで見える動作傾向」の2点で腹落ちしてこないと、自分の言葉では話せない。文明の発達とともに、動作の傾向は大きなくくりで変化しています。
このへんのことは、以前書いた「現代人の身体動作特性を見るときに気にしていること」を参考にしてみてください。



野口整体は、潜在意識・心理学的なことに興味のある人にはたまらなくおもしろいと思います。
亀井進先生の身体均整法は、アーサナをしている人に興味深いでしょう。
井本整体は、いまの自然や社会との親和性が高いのが魅力です。
沖先生の修正体操は、亀井進先生のロジカルな見かたよりも、野口晴哉先生の心理学的要素(見えちゃう系の人でもあったのですが)の影響が強いのですが、手法としては均整法の要素がある。おもしろブレンドに、精神論は中村天風イズムが混ざってる。
こういう見かたで、昭和の世代の人たちが開発してくれた東洋思想の身体操作方法を見ていくと、とてもおもしろいです。
なかでも片山洋次郎さんの分析のおもしろさは、野口整体がベースにありながら、こういうところをものすごくジャーナリスト的な視点で「いま」分析されているところ。
わたしはただヨガをやっているだけなのですが、脳みそがちょっとコンピューター的というか、IT黎明期にどっぷり浸かってきたせいもあり、このかたの分析が大好きです。



過去の教えを紐解くのもよいのですが、昭和の研究はあくまで「参考書」としておくのがいい。「それは○○先生のおっしゃる、あれですね」という話だけでは、日常に役立つ未来がない。「○○先生のこれは、今の時代ではこういうことなのではないか」という時代翻訳が必要なくらい、やっぱり機械は人の身体を変えたと思います。
わたしたちは携帯電話も使うし、同居・干渉する人の数は少ないし、洋食の頻度も高い。エゴの満たし方も、インターネットの登場で複雑化している。



みなさんが自分の身体を「自分で」観る楽しみを知ったら、誰かに何かを言ってほしいニーズ(言ってもらうことに対価を払う場合)は別として、よくわからない占いなどは、きっといらなくなります。
せめて重心や左右差くらいは、意識できるところから自分で観てみましょう。