これも仕事仲間が貸してくれた一冊。たくさんの事例が出てくるので、おもしろい仕掛けの広告を見て、なんとなく何年も覚えているような人には楽しく読めると思います。
ちょっと面白かったのが、この部分。
<162ページ いい語感をストックする より>
たとえば、「機動戦士ガンダム」の富野由悠季監督も、その方法論を用いていた1人。
かの作品にはシャア・アズナブルやランバ・ラル、マ・クベといった人名から、ザクやガンキャノン、ホワイトベースといった兵器の名前、ジャブローやオデッサ、ジオン公国といった地名や国名まで、一度聞いただけで印象に残る秀逸なネーミングが数多く登場する。
それもそのはず。
富野監督は、普段から新聞でいい語感の外国人の名前を目にしたら、それをメモして、いつか使える日のためにストックしていたのだ。
インドに行くと、ガンダム用語に出くわします(参考過去ログ:ガンダムとインド)。耳に残っているから、外国に行っても「おっと? これは……」ということになるんですね。いやはや。
ジェームズ・W・ヤングの名著「アイデアのつくり方」という本にある、以下の内容の紹介も、たしかにそうであるなぁ、と。
<56ページ アイデアは既存の知識の組み合わせに過ぎない より>
ヤングは、アイデアとは「0から1を産み出す」行為ではなく、自分の頭の中にあり「2つ以上の知識の組み合わせ」に過ぎないと説いている。
0→1ではなく、X+Y=Z であると。
だから、アイデアを降臨させるために第一に求められるのは、そのベースとなる知識の "蓄積" と "咀嚼" になる。
「なんでそんなこと思いつくの?!」といわれるものでも、みんなそうなんですよね。蓄積されたものが頭の中でトランプの神経衰弱のようになって、その紐付けがおもしろいアイデアだといわれたりする。
ジェームズ・W・ヤングの打ち出す「アイデアのつくり方」の工程要約はこんな流れだと紹介されています。
1:資料を集める。
2:集めた資料を咀嚼する。
3:いったん、対象から離れ、他のことをやる。
4:アイデアが降臨する。
ライフサイクルのなかに「対象から離れなければならない時間」があると、集める・咀嚼をコツコツやっているだけでなんだかいろいろ思いついてしまうというのは、わかる気がする。それを形にするところからが、「センス」なのかもしれないな。
レイアウトや文字の置き方が読みやすいので、体は疲れているけどなんだかやる気に満ちている、というときにぴったりの本でした。