仕事場に「読みたい人どうぞ」と置いてあった本の山の中から借りてきました。心地よい行間レイアウトと文字量、そしてときどき、キュートな女性たちの写真。
ここのところ身体論の本ばかり読んでいたので気分転換になり、きもちのよい刺激を受けました。
「かわいい!」とか「楽しい!」という、気持ちを動かす力について考えるきっかけになりました。「はじめに」にあるこの言葉が、いま、すごくまっすぐに刺さってくる。
シンプルさに従うことが難しい社会だからこそ、愚直に、「こうしたほうがいい」と感じた通りに、まっすぐいくことに価値があるのです。
ものごとを複雑にするものは、なんだろう。
そしてこの言葉も印象に残る。
経験を積み、視野が広がった分、より多くの失敗に気づいてしまうようになりました。
経験を積み、視野が広がった分、より多くのリスクも見える。そこでシンプルさに従うことは、難しい。ということなんだろうな。
そしてこのひとの「こだわりポイント」に共感する
「これを欠くと決してブランドとして『良いもの』にはならない」という条件が私にはあります。
私がいつも言っているのは ─ ブランドとしての「たたずまい」。これは理屈では説明できません。
その瞬間の、「たたずまい」。すべてはそこに、でるのだよなぁ。
この本の中に、「ブランド」というものについてものすごくストーンと理解できる説明があった。
寺田氏は、ブランドというものを初めて実感、意識したきっかけが「オーディオ」であったと語ります。
空の音楽用カセットテープを買ってきて、ラジオ番組やレコードをダビングするとき。空テープには、ノーマルとハイポジションという序列がありました。ラジオ番組など、録音するのに音質を気にしないときはノーマル、大好きなアーティストのレコードは "メタル" や "クローム" などのハイポジションを使う。さほど大したことのないミニコンポで、学生の耳で聴いていても、恐らく音質の差などはわからなかったと思います。でも、そこには明確な付加価値があり、自分の中での差別化もはかられていたのです。
ブランドの価値を生む瞬間が、どこにあるかということを捉えた喩え。
この本は最後に、こう締めくくられていた。
かつて学生時代の私が、カナダで、ソニーやホンダによって得ることができた日本人としてのプライドのようなものを、サマンサタバサを通じて世界に発信していきたいと、心の底から思っています。
かっこいいなぁ。
かっこいいって、だいじなことですね。