うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ビー・ヒア・ナウ ― 心の扉をひらく本 ラム・ダス/ラマ・ファウンデーション 著

覚醒剤取締役法違反の法廷を見てきたあとに、アシュタンガの先生が「今度ビー・ヒア・ナウって本、持ってくよ」と、面白がって貸してくれました。本の題名を伝えられた時点で「OASISの曲?」と思ったのだけど、まあ遠からずという感じかな。
この本を読んだだけで特別な体験をした気にならない「大丈夫な人」は、手にとってみてもいいかも。
後半の内容は昔のインドの暇な人たちが一生懸命考えてくれたことなのに、もともとインテリで特別な俺のフィルタを通したからって「アメリカを変えた本」だなんて、さっすがぁ。ビートルズ以前のビートルズ的な体験の話なので、1987年に日本語版を出す際にはそういう帯つけとかなきゃ、もったいないもんね。と思う商売心はすごく、すごくわかりますが、すごい帯つけたもんだと思います。


ハーバード大学教授のリチャード・アルパートという人が、ドラッグにハマって自己に目覚めてインドへ行ってヨギになって、ババ・ラム・ダスになったよ。そんな俺の意識改革武勇伝でーすな本、という印象。サブカル本になっちゃってるからなぁ。
さらに、ここに書いてあることの転記を許可するのは「あらかじめ書式をもってラマ・ファウンデーションの了承を得た場合に限ります」という、あまりにも非シェアなことになってます。(参考サイト「Erowid Character Vaults」「en.wikipedia」)


最後までドラッグ肯定で終わりました。この話自体がLSDが合法の時代に始まっていますので、まあそうでしょう。


この本は1971年にアメリカで出版されたものが、1987年に日本語化されたもの。
第一章では自身のサクセスな肩書きとそれを捨てるに至る話の中で、ドラッグ体験が語られます。ドラッグの人体実験もしています。ジョンとヨーコ周辺でよくお名前をきく「ティモシー・リアリー」も登場します。『チベット死者の書-サイケデリック・バージョン』なんて本も共著してる。
第二章は、サイケデリックなアートを交えた叫びやポエム。
第三章は、偉人のことばやヨガ行法のあれこれ。
偉人の言葉が多数引用されていながら、「転記は申請してね」とくるからびっくり。
アインシュタインガンジー、ラマナ、サイババ、イエス老子ボブ・ディランほかビートルズとその周辺の人々、ラマ・ゴヴィンダ、ヨガナンダ、ユクテスワ……、ものすごく大勢。


特別な俺の特別な体験から始まった、特別な話。
という印象が否めません。


ものすごく丸めると、「ドラッグ発」のヨガ本です。
この本の中ではLSDマリファナ、ペヨーテ、メスカリン、シロサイビン、DMT、DET、ハシーシといった化学物質と、スピード(アンフェタミン、メタアンフェタミンなどの興奮剤)が「意識拡張を可能にする化学物質(向精神性物質)」の対象で、アヘン系統(ヘロイン、モルヒネなど)は人を不快な環境から逃避させるための「麻薬」と位置づけられています。


いろいろな意味で「アメリカ人ぽい感じ」の勉強になりました。
ジョージ、ジョンのほうが10倍謙虚な感じがします。
そして、時代が少し後なのでこの本には登場しませんが(ジョブズの渡印はこの人の5年後くらい)、"one of the two or three most important things (he had) done in (his) life" と言っておきながら今があるスティーブ・ジョブズすげーな。とあらためて思います。(参考:アップルの創始者 Steve Jobs の Early years

ビー・ヒア・ナウ―心の扉をひらく本 (mind books)
ラム・ダス ラマ・ファウンデーション
平河出版社
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