うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ターイッティリーヤ・ウパニシャッド(紹介5:佐保田鶴治 訳「ウパニシャッド」から)

これも佐保田先生が抜き出した内容のボリュームが少ないのですが、このウパニシャッドで「瑜伽(ヨーガ)」という言葉の記述がはじめて出てきたそうです。
ウパニシャッドでははじめてというだけで、「リグ・ヴェーダ」には長髪の苦行者の歌があって、ヨーガ行者のことであろう、と書かれていました。(この歌自体は紹介してませんが、参考日記「リグ・ヴェーダ讃歌」)


この「ターイッティリーヤ・ウパニシャッド」は、全体的になんとなくムードの統一感があります。それは


 苦行萌えですか?


という感じ。「輪廻抜けたぁ〜い! さて、苦行しなくっちゃ!」みたいなノリがある。
今日紹介するのは厳選してひとつですが、問題集のような構成になっていました。


問題
そもそも無知なる者は誰でも死後に上界(梵界)に赴くのであるか、それとも真知ある者は誰でも上界の歓喜を享けるのであるか?

これにいくつかの回答のような詩が続くのですが、その中からひとつご紹介します。

自我の世界創造
彼(自我もしくは梵)は「我は多くのものに成りたい。繁殖してみたい」と願った。そこで、彼は苦行を修めた。彼は苦行を修めてこのあらゆるものの全体を産んだのである。これを産みおわってその中へ入った。その中に入り終わって彼は現実在と可想在、顕在と非顕在、止住と不止住、識と非識、真実と虚妄となった。その真実は此の世に存するあらゆるものとなった。だから、万有を真実在というのである。

おもしろいですよねこの展開も。
苦行しまくったら諸行無常感が究極で、「賛成の反対なのだー!」みたいなことになっちゃったと。
よく仕事で、ビジネスの大枠では利便性の追求をお互いに担いたい者同士がロジック的に食い合いを起こしているような場面で「タコが足食ってるような……」なんて言ったりしますけれども、あれと似た感じがします。


ウパニシャッド、おもろいなぁ。ビジネス書みたいだなぁ。

ウパニシャッド
ウパニシャッド
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佐保田 鶴治
平河出版社
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4 主要13ウパニシャッドの虫食い的抄訳
5 ヨガを日本に広めた先生が書いた本。