うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

インド映画。五つのヤマと、九支則

この間の日曜日に「JICA地球ひろば」のインド特集イベントへ行ってきました、という日記を先日書きましたが、今日は映画上映の後に行なわれた講義のおはなし。
アジア映画研究者・松岡環氏による講演会「インド映画とインド社会」という1時間の講義。めちゃくちゃ面白かったです。『ムトゥ踊るマハラジャ』『DON』などの字幕を担当された方です。
もう、インド映画が好きで好きでしょうがないんだなぁ、というのがビシバシ伝わってきました。インド映画にがっつりのめりこんだ上で、そのエッセンスと社会・文化背景をトピックにして話してくれたのですが、「1時間のなかでこれを話すぞ。楽しさを伝えるぞ」という気概が伝わる構成で、すばらしい内容でした。時間内に終わらせることを助けるA4表裏1枚にまとまった資料も、まとめ上手。
いや〜、笑った。笑った。

今日はなかでも「こ、これは」と思ったコンテンツをふたつ、ご紹介します。


ひとつめは、インドの映画検定(検閲)のはなし。とっても厳しいんだそうです。
以下が「描いてはいけない」NG項目なんだそうです。

 ●暴力〜子供、障害者、動物への虐待も含む
 ●飲酒、ドラッグ、喫煙などの推奨
 ●性表現〜卑猥な表現、女性侮辱、レイプ、性交渉など
 ●コミュナルな対立を煽る描写〜民族、宗教、その他の集団
 ●国家の秩序や存立を危うくするもの〜反国家的表現、他国との友好を損なう表現

インド映画の五つのヤマ(禁戒)、ね。
ちなみに「スラムドッグ$ミリオネア」はイギリス映画です。上記の要素はほぼ全部、ふんだんに入ってます。



で、こんなにヤマが多くて、でも上映時間が長い(ほとんどの作品が2時間40分〜50分で、途中に休憩が入る)映画を量産するって、どーゆーこと?!



その理由になるのかはわかりませんが、ある意味もっと大変なルールがありました。
ニヤマのほう。
インド映画は、伝統演劇の様式を踏襲しているからあんなに「ミュージカル」ばかりなのだそうで、その古典演劇に「入らなければならない」とされる、「ナヴァ・ラサ(nava rasa)」という "9つの感情" があるんですって。

以下、掟リスト

 ●色気:ラブロマンス
 ●笑い:コメディ
 ●哀れ:お涙頂戴
 ●勇猛さ:アクション
 ●恐怖:スリル
 ●驚き:サスペンス
 ●憎悪:敵役の存在
 ●怒り:復讐
 ●平安:ハッピーエンド

聞いている人みんな、「・・・・・・・・(これ全部乗せ、は、無理がないか)・・・・・・・・」というムード(笑)。
隣に座っていた道場仲間のかたも「八支則こえてる……」と。


わたしも・・・


 日本じゃ、水戸黄門くらいしかクリアできているものが見当たらない。


と思い、つぶやく。


 いま、ものすごい勢いでサクーーーッとまとめたね


と言われる。


水戸黄門、すげー。1時間番組なのに、すげー。
まじすげーーー!

と思ったのでした。