ヨガ仲間が貸してくれたのですが、普段身体の動かし方をゆっくりと意識するような運動をしていない人にはちょっととっつきにくい本かと思います。全般いっていることがわからなくっても、「ここはなるほどと思うわぁ」という感じで読んだらよいと思います。
うちこはわりといろんな語り口だったり、翻訳がうまくいっていない本なども読んできたので、そのへんは自分の中でさらに咀嚼するのですが、個人的にはここに書いてあることはとっても正しい身体物理学と思います。「よくぞこのように説明してくれた」という文章になっていないことが問題なだけ。さらに翻訳したくなってみたりしますが、昭和なたとえが増えてしまって、ヤングに通用しない本になりそうですね(笑)。
この本全般に共通する「全身長」という表現がとてもよいと思いました。基本的に、もっているものを大きく使うことがヨガにおいてもとても大切と思います。大きく、長く使うための動きに呼吸が連動するので、この体感理論さえつかめれば、いつ吸っていつ吐くのかなどはほとんど意識しなくてもよくなると思います。
この本は、「恋のから騒ぎ」のように、ところどころに(しかもときには唐突に)名言格言がぺたぺた貼ってあるような本です。単純にページ順にメモしたかったところを紹介しますが、散漫な印象を受けるとしたら、そのためです。
<37ページ 生理学:どのように動くか より>
【格言コラム】
重力のおかげで私たちは地面に立ちことができ、大地とかかわりをもつ。
こうして私たちは安定を知る。
私たちはどこに立ち、どのように空間を扱うのか?
(テッサ・マーウィック アムステルダム・アレクサンダー・テクニーク・センサー・ディレクター)
ヨガをしているとき、自然な内観だけでなく、地球の引力との折り合いについて思うとき、「自分は宇宙の中で暮らしている一匹の生き物なんだなぁ」と思います。空間を扱うなどとは思わないけれども。
<42ページ 手順:動きのなかで考える より>
自分の「良識」を使うことで、自分自身を「どのように」使ったらよいかを考えるようになります。どんな動きをするときにも意識的になるということは、自発性を失うことでは在りません。習慣的パターンと反応を破ることによって、いろいろなことがずっと容易になります。
この「良識」とかいう表現がちょっと難解なんですね。置き換えるなら、「脱力」かなぁ。
<50ページ 座り方 より>
おすすめします
・座骨の上に座る。
・足首をゆるめる。
・ヒザとゆるめる。
・脊椎にそって長くなると思う。
・軽く座る。
・体重は両尻に均等に座る。これはやめます
・頭を後ろに引かない。
・首を硬くしない。
・座ろうとして下向きにならない。
・息を止めない。
・背中を反らせない。
・立つときに脚を引き締めない。
・腕でからだを引き下げない。
・立つときにからだを引き下げない。
・前かがみにならない。
「立つときに脚を引き締めない」に、「おおっ」と思いました。
<70ページ 教育 より>
【格言コラム】
知るということは経験することだ。それ以外はたんなる情報にすぎない。
(アルバート・アインシュタイン)
そうだ! 実践してなんぼだ!
<111ページ スポーツとレクリエーション:意識的エクササイズ ランニング より>
やめたい習慣
・一歩ごとに体を押し上げ、脚の上に強く下ろさないように。
・足で押さないように。
・腕を胴体に固定したり、肩を固めないように。
・内股にして股関節を固めないように。
・骨盤を脚に押しこむ(たたみこむ)のはやめる。骨盤は背中の一部です。
・頭をまわしたり、上げ下げしたり、振ったりしないように。
・こぶしを握りしめたり、手首をぶらぶらさせたり、親指を硬くしないように。
・歯をくいしばったり、顔をこわばらせたり、ゆがめたりしないように。
・上下に跳び上がったり、横揺れをしないように。
・胸を目標に向かって突き出さないように。
・腹で呼吸しないように。
もともとこの本を貸してくれるときに「ここだけでも、読んでみて」と言われたのですが、特に最後の「腹で呼吸しないように」がすごく重要ですね。1月にいろんな呼吸を走りながら研究してみたのですが、横隔膜の省エネが大事です!
以前もどこかで書きましたが、うちこは小難しいことよりも、胴体に手足が二本ずつぶら下がって頭が乗っているという物体(身体)のシンプルさと複雑さを楽しみながら日々暮らしています。いちばん荷物にならない遊び道具のような。やれ健康のためにどうとか、精神のためにどうとかいいながらやるヨガよりも、こういう視点で向き合うヨガのほうが、より考え方がシンプルに浄化されていく感じがします。そんなタイプの人には面白いであろう本でした。
読みやすい!
翻訳がひどい
一流の学者たちのアレクサンダー・テクニーク評