スピリチュアルにハマる人、ハマらない人　香山リカ著

近所のユキちゃんちの本棚から借りてきました。たまに行ってはまとめてがさっと借りてくる数冊の中から、今日の通勤でこれを読みました。「黎明」が、「謹製おせち三段重・伊勢海老付」みたいな重さだったので、ちょっと俗世な感じのものが読みたくてね。帯（書店平積み用のキャッチコピー）は「江原さんのこと　(1)大好き！　(2)インチキ！　あなたはどっち？」。

感想を書く前に、うちこは仕事の関係で江原さんの講演のチケットがものすごい勢いで売り切れることなどは知っていたのですが、「オーラの泉」という番組を2回しか見たことがありません。しかもネット動画で。いつもビール飲んで日記書いて疲れて寝てしまう日々なので、テレビを見ること自体が少ないのですが、予備知識がなさすぎなんですね。
それに加えて、途中で出てきた佳川奈未さんという人にあたっては、まったくお名前を知らなかったです。きょう道場で会ったヨガ仲間のリョウコちゃんに「知ってる？」と聞いたら「あー、紀香の結婚決めた人じゃないかなそれ」と教えてくれましたが、あとで調べたらそれは「ユミリーさん」という風水の人でした。みんな適当だな（笑）。というわけで、うちこの周りのヨギにもこの辺に詳しい人はいないわけなのでした。

というわけで、当事者感覚がまったくない点でうちこは「ハマらない人」目線で読んだことになるのですが、この本の内容は
　『「私さえ変われれば」「私さえ幸運になれば」のためにあるのがいま（3年前）流行っているスピリチュアルの特徴』という一貫した視点があります。いくつか引用紹介しますね。

＜136ページ　"むなしさ病"の恐ろしさ　より＞
　いずれにしても、このオウム真理教の事件は、「自分は何のために生まれたのだろう？」「私なんて世界にとっては"その他大勢"にすぎないのではないか」という問いにとりつかれた人たちの苦しみの深さ、救いを求める気持ちの強さをまざまざと見せつけることになった。
（中略）
　私たちの選ぶべき道は、ふたつ。ひとつは、「私は何のために生まれたの？」と問う"むなしさ病"そのものが発病しないように手を打つこと、そしてもうひとつは、オウム真理教に代わる社会的に害のない受け皿を作ることだ。

以前の日記に書きましたが、「まわりから淋しい人だと思われたくない」とか「不幸な人だと思われたくない」というのと似たものを感じます。

＜155ページ　ハッピーになれるならだまされても　より＞
「人々を喜ばせよう」かつ「商売しよう」という人に対して、世間は驚くほど寛大だ。いや、寛大というよりむしろ「それでハッピーになれるならだまされてもかまわない、だましてもらいたい」と積極的に望んでいるようにさえ見える。

以前「日本人なら知っておきたい神道」を読んだときに、お正月に福袋を売るのは、安売りをすることでみんなが喜んで笑い、笑うことは神様が喜ぶことなので、そうやって新しい年をむかえるという古くからの流れがある、と書いてありました。なので、ここはわりと明るくとらえました。

＜175ページ　利他主義とは相容れない　より＞
　なぜ宗教ではだめなのか。その最大の理由は、宗教は自分だけを救うものではないから、というところにあるのではないだろうか。

江原さんのお話はさておき、巷に「ハッピーオーラ」「あなたが輝く」といったような表現で並んでいる本は、わかりやすく自利にフォーカスしている。「モテ」とか平気で言っちゃう状況もすごい。そしてやっぱり「お金持ちになればなるほど、もっと人助けができるわ。」と言うマドンナ師匠はすごい。

本を読んだ後で知ったのですが、香山リカさんという人は、活動自体は精神科医ではなく、大学の先生なのですね。「香山は70年代後半に、高感度な若者たちにカリスマ的に支持されていた松岡正剛の工作舎に出入りしていた。」とWikiにあり、ここ数日で松岡正剛さんというお名前を急に覚えました。
「プロレスの大ファンで、少女時代、馬場に抱き上げてもらったことがある。」とも書いてあり、ちょっと親近感がわきました。ちなみにうちこは幼少の頃「デストロイヤーさんに抱き上げてもらったことがある。」と母から聞きました。母がやっていた深夜営業のレストランに、よくプロレスラーさんが来ていたので。ものすごく泣いて、「せっかくデストロイヤーさんがあやしてくれたのに」という状況だったそうなのですが、そりゃ泣くだろ。あのマスクだぞ。
プロレス好きな人に悪い人はいないと勝手に思っているので、ほかの本も読んでみようと思いました。ボリュームと読みやすさが通勤にいいんですよね。手に持つ姿が、お教典よりもOLっぽいし（笑）。