うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

神道と日本人 葉室頼昭 著

夏に読んだ『「神道」のこころ』と同著者さんの本です。図書館で借りました。
今月の初めに弟の結婚式に参加したのですが、簡易ながら神前式ではじめて祝詞というのをきかせていただいて、その小粋な感じというと軽率に聞こえるかもしれませんが、結婚する男性・女性の生まれた土地と自然にちなんだ物語の趣に素敵な日本のしきたりを感じました。
自然の恵みにまつわるたくさんのことばで構成されていて、深く生まれた土地のあたたかさ(といっても雪国ですが)に感じ入り、日本人に生まれてよかったなぁと。
もしその式の前に葉室さんの本を読んでいなければ、こんなふうに感じられることもなかったと思うので、本当によい本に出会ったと思います。

葉室さんの壮年ロッカー的なかっこよさは、瀬戸内寂聴さんに似た感じがします。今回もいくつか紹介します。

<15ページ 水と山と神社 より>
そもそも私たちは水の中から生まれてきたでしょう。生物は、水の中で誕生し、それが海水を体内に蓄えたまま地上に上がってきたために、人間の体の体液というのは、海水と非常によく似た成分で構成されています。だいたい、私たちの体の六十、七十パーセントは水だと言われています。
だから海が満潮の時は、人体の体液も満潮になって、月の引力を最大限に受けます。体が満潮になるというこは、体内にエネルギーが満ちるということです。昔から満潮時に赤ちゃんが産まれるとよく言われていますが、これは真実のことで、赤ちゃんはお母さんのお腹の羊水の中に浮いているので、そこが満潮になるのです。逆に干潮の時には、体のエネルギーが少なくなって、お年寄りが亡くなったりするのです。
このように、ふだん気がついていなくても、我々は月の引力に大いに影響を受けて、生かされているわけです。だからそれに逆らわずに生活すれば、健康でいられると思うのですが、今の人間は全て理屈でものを考え、我欲で生き、そういう自然のバランスに逆らって生活するためにいろいろな病気が起こるのだと思います。

これは神道ではありませんが、うちこは「月輪観」をするようになってから、実際の月をよく見るようになりました。女性で同じことを感じたことがある人は多いと思いますが、女性の体は不思議なくらい、月の引力に引っ張られますね。

<23ページ 祓いということ より>
人生というのは、何もかも祓いのくり返しなんですね。一生涯祓いつづけて、死ぬ間際になったら罪・穢が祓われて、罪・穢の大元である我欲がなくなるはずなんですが、今は逆に年を取れば取るほど我欲が出て、ガンコジジイ、ガンコババアになっている人がいる(笑)。これは神に反することです。

普通に生活していると、一定の確率で「ガンコジジイ」「ガンコババア」に出くわしますけれども、そんなときはやはり悲しくなりますね。今そう思う気持ちを忘れずに、歳を重ねたいと思います。

<31ページ 共に生きる より>
現在は「はたらく」というと、労働という考えがありますが、「働く」という漢字を書くから本当の意味が分からないのです。これは「はた」と「らく」という日本語です。すなわち「はた」とは周囲のこと、「らく」は楽しむという意味ですから、周囲の人を喜ばせる、ということが日本人の「はたらく」という意味です。

すばらしい教え。これは、カルマ・ヨーガに通じるものを感じます。

<162ページ 真実の人生に目覚める より>
生かされているということに気がつくということ、神さまから与えられた体に感謝する、すべてのことを神さまに感謝するということによってはじめて、真実の健康につながっていくのです。これをやらないで、ジョギングしたり何かするのは、やっぱり自分の体は自分のものだと思っている我欲の現われなんですね。

これには、ハッとさせられました。確かに、自分の体を自分のものだと思ってしまっている。なので、不摂生もしてしまう。これは、あらためるには時間がかかるなぁ。


このほかにも、アポトーシス(必要でないものは消える)ということばが何度か出てくるのですが、少子化についてこのアポトーシスという言葉で語られている点も、すごく印象的でした。「必要じゃないから、作られないのです」とは、思っていてもなかなか言えるものではない。絶対的に信じているなにかから発せられるものには、勇気など必要ないのですね。

ものすごくわかりやすく、字も大きくていっけんすごく読みやすい本でありながら、いつも反省課題を与えられます。読みながら、いつも反省猿です。まだまだ時間はかかるけれど、今の自分を認めながら、ゆっくりと日本人になっていこうと思いました。

神道と日本人
神道と日本人葉室 頼昭

春秋社 1999-01
売り上げランキング : 31209


Amazonで詳しく見る
by G-Tools