うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

身体にきく―「体癖」を活かす整体法 片山洋次郎 著

昨日の「骨盤にきく 気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門」と同じ著者さんの本。これも、めぐこが貸してくれました。
体癖を通して書かれている点は、昨日紹介した本と共通しています。違いというか、面白かったのは、こちらの方が「占い」的な楽しさよりも「○○道」といわれるものに共通する「雑学」の楽しさがあるところ。
整体を学んでいる人にとっては、こっちの本のほうが実践的に役立つ情報が多いように思います。

いくつか引用紹介します。

<111ページ 背中は五つのエリアでみる より>
胸・中はエリア全体としては消化器と関係しますが、特に胸椎6、7番は交感神経に関係があり、ストレスがあると硬くなったりねじれたりします。
すごくストレスがたまって胃が痛くなったときに、胃の裏側が一緒に痛くなることがありますが、それはこの6、7番が硬くなってねじれるからです。うつ状態のときにも硬くなるポイントです。

この、胸の裏側を上・中・下にわけた解説の図を、携帯の画像でいつも持ち歩いています。この部分を引用した理由は、ここが硬い人がとっても多いから。

<121ージ 整体の要──「�吸啄同時」 より>
整体は、一方的に「エネルギーを与える」「気を入れる」という発想では、本人の回復力を引き出すことはできません。人の身体というものは、ふれられる側の欲求があってはじめてよい反応が起こります。
それがともに響きあうことの本質なのです。
これを、野口晴哉さんは「�吸啄(そったく)」の技術という言い方をしています。禅の「�吸啄同時」からきた言葉ですが、卵からヒナが生まれるときに、卵の内側からヒナが殻をつつくのを「�吸」、外からつつくのを「啄」といい、このタイミングが一致しないと命は生まれない。まだヒナの生まれるべきときでないときに親がつつけばヒナは死んでしまうし、遅くても出てこられない。
この自然の不思議さを表現した「�吸啄同時」は、禅においては、弟子の修行が円熟しているのに気づいて、師匠が「悟り」の機会を与えるタイミングの妙を指して使われます。
(中略)
だから、何も起こらないときには、じっくりと相手の転機を待つことも大切です。

この「�吸啄」について、うちこはインド人師匠の目は本当にすごい、と思っています。

<124ページ 整体とは呼吸の「呼」と「吸」の間を広げること より>
これまで見てきたように、整体の目的は外から何らかの力で、背骨や骨盤を矯正することでもなく、治療を加えることでもありません。深い呼吸ができるようにすること。それだけが目指すところです。
(中略)
現代社会では、この"戦い"が二十四時間続いたような状態です。「息を殺し」「息を詰め」っ放しで、多くの人が呼吸の隙をつくらないように、常時身構えっ放しになっているのです。
ずっと身構えたままで疲れてくると、「呼」と「吸」の間の弾力は失われ、いざ集中というときに、それ以上隙を縮めることもできず、かといってリラックスしようとしても、十分な隙が得られません。
人は成長してしまうと、赤ちゃんのように無防備ではいられませんが、この「呼」と「吸」の間の隙=脱力の瞬間に、身体の響きを取り戻す大きなチャンスがあるのです。
深い呼吸とは、このチャンスを広げるということです。

これはちょっと逆の目線でのコメントになりますが、うちこの道場の初めの呼吸では、「まったく隙のない"呼"と"吸"のスイッチング」が、実は重要視されています。といっても、師匠はそれを口にせず、ひたすらに自分の呼吸音を聞かせることだけでそれを教えようとしています。これが、実に難しい。
真正面に立たれて何度もダメ出しをされて、「音から学びなさい」という教えで今に至っていますが、それでもコンマ何秒の単位で呼吸の「弁」がうまくいったな、という打率はまだまだ。身体は絶え間なくゆっくりと動かし続けながら、完全にクンバカの無い呼吸を行うというのは、すごくロジカルに合点のいくことなのですが、やってみると本当に難しいものです。
隙の実感も難しいものですが、「隙のない」実感も難しい。無意識のうちに両方をコントロールすることができて初めて、隙を生かせるのではないかな、というのがうちこの個人的な学びです。


片山先生の本は、どんな人にもためになる内容に書かれているのが本当に素晴らしいです。マーケットに媚びてる、とかではなく、本当にそうだと思ったことを伝道したいという思いからそこに至っていることが、とても素晴らしいと思います。

身体にきく―「体癖」を活かす整体法
身体にきく―「体癖」を活かす整体法片山 洋次郎

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