うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

高野山2008夏。「町石道、登山道」編

これから高野山でのできごとを数日綴っていきたいと思います。今回は二度目の高野山なので、ちょっとだけオリジナル度が増しています。楽しみ方のバリエーションがたくさんある高野山ですが、うちこなりに楽しんできたいろいろなことを、テーマ別に紹介していきます。今日は、初日の「登山」について。

前回高野山へおよばれしたときに(高野山では、「行った」とか「来た」ではなく、「お大師様によばれた」というのだそうです)、「時間があったらぜひ歩きたい」と思った町石道を歩くことが今回の旅のメインテーマでした。仕事の後、最終の飛行機で関西まで行って、翌朝から高野山へ向ったのですが、道を間違えたり、藪蚊と渇水との闘いで登りきることができなかったのですが、その「過酷さ」はぞんぶんに味わってきました。
当日の携帯更新日記にも書いたとおり、今回は本当にしんどい登山でした。うちこは富士登頂登山もフルマラソン完走も経験していますが、それよりしんどかった。この道を切り開いて何度も往復したという空海さん、すごいわ。きっとうちこの10倍以上、体力も気力もある人だったのだと思います。
ここからは、その過酷さとはうらはらに、美しすぎる高野山の山中写真と共にお送りします。


出発点は、「九度山」駅です。ここを出たのが10時ごろ。駅員さんに、「うちの若いのでも7時間弱かかりましたけどぉ・・・」と心配そうな顔をされながら、地図をもらって歩き始めました。まずは慈尊院というところに向うべきところを、地図の読めないうちこはいきなり道を間違え、


素敵な沢に誘われるがままに歩き・・・



こんなものを見かければ手を合わせたりしながら、「高野山」の標識もあるし、ってんで、気持ちよさに身を任せてのんきに歩いていました。


が、なんだか本格的な分岐点まで来たとき、「どうも話が違う気が」と思って信号待ちの車の人に聞いたら、「ずいぶん先まで来ちゃってるよ。慈尊院はうんと前」と言われ、「わーい気持ちいいな。沢だー」と思って曲がったあそこがそもそも間違いだ! とピンときて走って戻りました(笑)。ここで30分の時間ロスと、ものすごい体力消耗。
そもそも正味6時間半かかるといわれているところを6時間で行こうとしていて、30分ロスしたので残り5時間半です。「まーでもこんなに気持ちのいい景色を味わえたし、これはこれで一興」と気をとりなおし、とりあえず慈尊院までたどりつきました。



出発前に、観音様にお参りをして、僧侶のおじさんと談話して(ここでスタート地点のこの場所について、0と1の面白い話をしました。やっぱり真言宗はインド的)、町石道歩きスタート。



いきなりこんな階段から始まります。


町石道というのは、高野山への道標(道しるべ)として、1町(約109m)ごとに「町石(ちょういし)」と呼ばれる高さ約3m強の五輪卒塔婆形の石柱が建てられています。いくつか写真を撮りました。



いつのまにこんなに登ったやら・・・



展望台という名の広場にベンチとテーブルがあったので、そこで位置確認。そもそもまだ1/5しか来ていない。もう水も残り少なく、羽織っていたUVパーカーはしぼれば汗がジューっと出るほど。ここで、今日の登頂はあきらめ、のこり時間をどう使うか考えました。



給水スポットがなく、人にもまったく会わないこの道を歩き続けるのは危険だなと。「上古沢」という駅に抜けられるコースに変更します。でも、その分岐点がまだまだ先。それでもここまでの道の2倍を歩かなくてはなりません。ここからは、ひたすら孤独な山歩き。




ほんと、誰にも会わなかったのですが、この「六本杉」で道を下ってきた登山おじさんと挨拶しました。結局、人にあったのはこのおじさんだけ。



とにかく、景色は最高です。が、1枚写真を撮ろうと立ち止まっただけでいっせいに吸いついてくる藪蚊軍団のおかげで、ほとんど休憩なし。「立ち止まるな、とにかく行け」と。そんな状態。



ここで上古沢駅に分岐。ここからが、さらにめちゃくちゃしんどい! このときは藪蚊軍団の「ブーン」という音が幻聴なのか本当に蚊なのかわからなくなっていました。人間、極限に近くなると懺悔をするものなのでしょうか。うちこは、いままでのいろいろなことに「ごめんなさい」とひたすら唱えながら歩いていました。それで蚊が去ってくれるわけでもないのに。



民家が見えたとき、本当に嬉しくなりました。が、こっから道を間違えまくります。もう、判断力が残っていませんでした。田んぼのお水を飲もうかと思ったり。
このへんから完全に翼の折れたエンジェル状態で、あとちょっとのところにある駅もさっぱりわからない。20分に1本くらいの頻度で通る電車の音に耳をすませても、どの方向かわからない。地図もずいぶんざっくりで。
だいぶ間違った道を歩き、道で少し横になったりしながら体力を回復させ、民家へ(泣)。大きな土間の奥までお邪魔し、おばあちゃんに道まで出てきてもらって駅の方向を教えてもらいました。



自販機がないんですよ。駅員さんひとりだけ。「み、水をもらえますかっ」と言ったら、「麦茶あるでー」と(笑)。3杯いただくも、足りず・・・、お水もペットボトルに詰めてもらいました。
「あんた九度山から来たんかい?! そりゃ、今日この天気じゃ、無茶やでぇー」と、ここ数日の猛暑っぷりについてお話をうかがい、「どうりで人がいないわけだ」と。まさに「ひとり西遊記」状態でした。


山には山の掟とノウハウがあり、そして偉大なる太陽と山はその恐ろしさも大きいものであります。そんなことを学びつつ、自分の体力を過信していたことに深く恥じ入りながら、電車とケーブルカーで頂上まで上がりました。完全に車中ではグロッキー。でも、また行くと思う。懲りない性分なので(笑)。