うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

世界ケンカ旅 大山倍達

同僚で読書フレンドのシカちゃんが貸してくれました。
彼女は部署周りに「図書部」なるものがあり、彼女自身も本を借りて読むことが多いのですが、「いつも図書部では借りてばっかりで、自分でチョイスした本に食いついてくれるのは、うちこさんだけなんです。オモロいのでぜひ読んで!」と言ってはいつもこんな感じの本や、仏教関連の本を貸してくれます。お財布を二分する貴重なお友達です。

で、本題。これ、めちゃくちゃ楽しく読みました。
大山倍達は牛殺しで有名な空手家で「空手バカ一代」のモデルになった人ですが、豪快さとエロのバランスがたまりません。この本は、シカゴ、ラスベガス、NY、ブラジル、ホンコン・・・と世界に空手を広めるためにパフォーマンスや仕掛けられた対決を描いた武勇伝ですが、毎回「女」のエピソードが登場します。
勝利のごほうびが「女」であることも多く、その描写はゴールもしくはそれ以上のゆきずりの恋にまで発展したことを包み隠さず描かれています。

そしてこの人は日本の歴史に残る偉人なのですが、山ごもり中のエピソードでは

<152ページより>
しかし、狐と仲よくなったところで、孤独感から完全に解放されたわけではない。それに、私も若かった。瞑想にふけるつもりが、頭のなかに浮かんでくるのは、女の体ばかりという夜も多かった。もう山を降りようと、何度思ったかしれない。

なんて、性欲に負けそうな赤裸々な告白があります。この人が長く愛され語り継がれるカリスマ性には、こういった人間らしさに起因するところも大きいのでしょう。
ちなみにこの煩悩に勝つための手段は、「眉毛を剃る」という手法で、そこもツッコミどころ満載です。


もうひとつ、内助の功、なエピソード。

<52ページより>
私は、畳針を用意して、家内を呼び、私がバーベルを持ち上げる瞬間に、思い切り私の尻を突けと命じた。家内はいやがったけれど、私にぶんなぐるぞと脅されて、しぶしぶこの役目を引き受けた。
バーベルを、持ち上げようとする瞬間、家内はしっかり眼を閉じて、畳針を私の尻につきたてた。
まるではねあがるように、百匁の重さが加わったバーベルは宙に浮かんだ。自分の力を、瞬間的に集中させる練習のために、これはひじょうに効果のある方法だと、私はいまでもそう考えている。

偉人の奥さんて、たぁいへん。


この本自体がもうこんなことばかりなので、書き出すときりがない。
初版は1968年。自分が生まれる前にこんなに面白い偉人伝が出版されていたなんて、日本人に生まれて幸せと思います。

世界ケンカ旅
世界ケンカ旅大山 倍達

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