うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

中村天風「ほんとうの心の力」/ 松下幸之助「道をひらく」

なんとなく読んでみようかなと、ブックオフで手に取った2冊です。中村天風氏に関連する本はこれが二冊目。(「ヨーガに生きる」の感想は昨年7月に書いています)
松下幸之助氏の本はこれがはじめてです。まわりに読んだことのある人は、職場の仲間では圧倒的に松下氏のほうが多いですが、私の周りのヨガ仲間では中村氏のほうが多いです。まわし読みしましたので。

両方とも、文字の大きな名言集のようなつくりなので、ほんの少しだけ紹介します。

<54ページ「悩みは無意味なもの」より>
悩みという心理現象は、人類に対してはむしろなくてよいものだと言いたい。
(中略)人間である以上は、何かしらの悩みを心にもっているのが当然だと思い決めている。中には、悩みを持たぬ人間なんていうものは、人並みの人間ではなく、極度に神経の鈍い愚か者か、(中略)完全に人生を悟っているという、極めて稀有な優れた人だけのことで、普通の人間である限りは、断然そんな「悩み」のない人間などというものは、この世にあろうはずのないことだと、思いこんでいる人さえある。

私も、「悩み」という感情がわからないまま今に至っているのですが、本当にわからないので安心しました。
「解決のためにこうしたらいいことがわかっているのに、腰の上がらない面倒くさがりな自分」を悔やんでいたり、「人よりも劣っている部分について、認めて割り切ることができていない」状況だったり、「どっちにしようかな」という博打的な迷いを感じたことはありますが、やるべきことがなにもない状況というのはありえないので、基本的に「あーあ。ダメだな俺」ということになり、それは悩みではなく、反省中というものかと思っていました。
でも、"毎度おさわがせします"的に使う「悩ましい」という日本語は好きです。魅力的でああどうしょうもない!な感じが。これが本来正しい使い方なのでは?と思うくらいです。

<188ページ「いのちの力の使い方」より>
いのちの力の使い方・・・結論からいうと、これは極めて短い言葉で表現することができる。すなわち、「力を入れることに重点をおかずに、力を動かすことに重点をおく」・・・これである。

いかにもヨガ的であります。力の持って行きどころがずれると、無意識の時よりひどいときがある。


このかたの言葉は、中村天風氏が自分の中に向かう性質のものであることが多いのに対し、目線が「組織」に向いており、「日本という国をよくしたい」という情熱に満ち溢れています。

<142ページから>
(中略)人と人 団体と団体が ともにその独自性を生かしつつ
のびのびと活動できる秩序正しい自由の中にこそ
人間と社会の 限りない生成発展が約束されるのだ

経営者が読むべき本としておすすめされる理由がよくわかります。四季と自然に恵まれた日本のよさについて、勤勉な日本人の気質を誇りに思いながら発せられる言葉には、「今自分の置かれている環境をありがたく思う」謙虚さがひしひしと伝わってきます。


なんとなく同じシリーズを手にとって2冊読みましたが、比較しても面白い2冊でした。今まで偉人の本といえば、スポーツ(主に野球と格闘技)、もしくはさだまさし氏に関する本ばかり読んでいましたが、これからもいろいろな人の言葉に触れていきたいと思いました。

★おまけ:中村天風さんの「本棚リンク集」を作りました。いまのあなたにグッとくる一冊を見つけてください。