うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

「無常を生きる―寂聴随想」「寂庵まんだら」「一筋の道」

以前自由が丘の古本屋さんで買った、瀬戸内寂聴さんのエッセイを3冊読みました。一冊ずつ紹介します。

気楽に読めるエッセイです。「寂庵だより」に書かれたものなど、短いエッセイ集に、後半は著者と縁のあった人との思い出話。
阪神大震災オウム真理教の事件があった年のエッセイがほとんどなので、そのことについて書かれています。
オウム真理教については、やはりヨガに対するイメージを悪しきものにした行いとして非常に悲しく思っているのですが、新興宗教について語る著者の文章の中で、著者の明るい人柄が出ていて面白かったのは、新興宗教にハマってしまって彼女のところに訪れる人々が処分に困っている「呪いの品」について、「捨ててあげましたよハイハイ」といったノリで書かれていること。素敵です。
一番最後の、岡本太郎さんとのエピソードはとても興味深く読みました。



これは、宮沢りえ貴乃花の騒動があった年のもので「さわやかニュース」「テレビ野次馬」「もう書かないこのこと」というエッセイがあるのですが、当時同じ事を思ったなぁ、と懐かしく読みました。もしかしたらいま新卒で入社する子たちは、こんなことうろ覚えなのだろうか。
69歳で、「したいことを何でもしてやろうと思って、今年はインドとイラクとヨーロッパへ前半年に行ってきた」から始まるパワフルなエピソードにはじまり、外国では「この人は髪がないが、男なの?女なの?」みたいな扱いをされているうちに現地の人々と仲良くなっていたり、陽のオーラ全開です。
ものすごい作家さんなのに、若者が美しく見えるといって「モックンのヌード写真集も、宮沢りえちゃんのそれも持っている」と語るチャームにも圧倒されます。
私はそのときの彼女の年齢の半分も生きていないんだなぁ、としみじみしました。



これは私が生まれる前の本で、昔「銀座百点」という冊子に掲載されていたものだそうです。筆つくり、すだれや、花火師、ふぐ料理屋、そばやなど、その道の職人さんを著者が見学に回って聞いてきたお話とエピソードです。
どの話もとても興味深い「職人道」なのですが、読みすすめていて面白かったのは、職人さんの口語の調子です。まさに、江戸川乱歩に出てくる人たちのような口調で、当時の話しことばのイメージが広がります。
江戸川乱歩作品の登場人物の口調は、江戸っ子的でありながらも上品な、いま聞くと独特のちぐはぐ感からついその世界にひきこまれていくのですが、たまに乱歩好きのお友達とチャット(インスタントメッセンジャー)で話すときに、この口調を使います。
この時代のものは、なんともいえぬ色気が感じられ、素敵なのでございます。


瀬戸内寂聴さんの他の本への感想ログは「本棚」に置いてあります。