うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

Perennial Psychology of the Bhagavad Gita / Swami Rama(スワミ・ラマのバガヴァッド・ギーター解説)


これはインドで買って以来、参考書のようにたまに開く本です。いまはこれがキンドルで買えます。すばらしい。
スワミ・ラマの解説はかなりビジネスマン向きで、わたしはこのトーンが好きです。インドの聖典や教典を解説するスワミはたくさんいるなか、パラマハンサ・ヨガナンダよりも現代に近い人(96年まで生きてた)なので、現代の感覚で読みやすいです。自己啓発っぽいトーンに流れすぎないギリギリのところで踏みとどまる感じ。
たとえば、6章5&6節のコメンタリーは、こんな出だしです。

When the aspirant realizes that he is competent and resourceful, he gains confidence and begins following the inner path. Dependency on external resources cannot help him to treat that path. Having deep-rooted habits of depending on external resources leads the student again and again to search outside of himself. He thinks that visiting one shrine and then another and going from the teacher to another will help him, but the inner thirst remains unquenched.

上記を現代社会ではたらく都会のOL脳で意訳すると…
(以下わたしによる日本語化)

熱意ある者が有能で臨機の才をもつとき、彼は自信を得、内面の道へ歩む。外部情報への依存状態は、もはや彼の内面への道には役立たない。根深い外部依存習慣は、何度も「検索」する気を起こさせる。学生は1つの聖堂を訪問し、そしてまた別の場所へ出向く。他の先生から別のものの提案を受けることで「助けられる」と思うけれど、内面の渇きはおさまっていない。


なんというか、こういうふうに訳しやすいトーンなのです。
ヨガブームにもいろいろあって、最近はマインドフルネス瞑想をアメリカのGoogle社員がやっているという情報からヨガへの関心が高まっているようですが、スワミ・ラマが解説で使う「mindfulness」は「記憶の混乱」のところで登場します。

(これについてここで書くのは前提の説明を含めるとややこしいので、このニュアンスを詳しく知りたい人はわたしが書いているもうひとつのブログ「まろやかインド哲学」のビンゴでギーター2章62節・63節の下部の表をご覧になってください)


マインドフルネスというとなんとなく語感から「満たされる」イメージをもつと思うのですが、外部の影響による記憶の紐付けを解いてスペースができたところに自己が満ちてくるということを得るために、「アメリカのGoogle社員がやっている」という前フリが効くというのはおもしろいなぁと感じます。そして、そのおもしろさすらも、スワミ・ラマによる6章5&6節の説明に包含されてしまいます。
この本はコメンタリー本でありながら他の聖典の引用に過分に寄りかかることなく淡々と説かれており、編集もたいへん洗練されています。


▼紙の本

Perennial Psychology of the Bhagavad Gita
Swami Rama
Himalayan Inst Pr



Kindle


★おまけ:バガヴァッド・ギーターは過去に読んださまざまな訳本・アプリをまとめた「本棚リンク集」があります。いまのあなたにグッときそうな一冊を見つけてください。