うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

五月女ケイ子のレッツ!!古事記


古事記のお話をすてきなイラストとシャープなつっこみと昭和全開の比喩で綴る、たいへんためになる本。
「男尊女卑」「死を穢れと考える」という価値観がこの頃からあることを学んだり、「生き返るたびに強くなる」神の生きざまに励まされたりしました。
なかでも以下は、こんな心理がすでに古事記のなかで表現されているのがおもしろい。

  • 神の中にもステイタスのカーストがあって、神の中で下の世界の者でも、さらに下の世界ではありがたがられる(スサノオの物語)
  • うまくいったと思った瞬間、まだ完遂していなくても成功した前提でものを言いたくなる心理が発動する(いなばのしろうさぎ)
  • 必要とされない理由を知りたくなる心理(天照大神の岩戸籠もり)

あと、最近は世相からこれも古事記に学ぶところかと思った。

  • 「失敗したのは、あのとき女のほうが出すぎたことをしたからだ」と言い出したくなる心理(イザナキ・イザナミの初めの営み)

神道ヒンドゥーと似ているところが多々ありますが、本編の下部で著者さんがマンガ化する際の意図説明とあわせて「オロチ博士」に質問をするのですが、その回答と説明がとにかくおもしろい。みっつ紹介します。

<82ページより つらいぜ! オオちゃん〜花嫁の父〜>
五月女:オオクニヌシ=オオムナジのことです。ややこしいから「オオちゃん」でやり過ごしました。これ以外にも沢山名前があるそうです
が、なぜですか?
オロチ博士:ソウル歌手ジェームス・ブラウンは「ソウルブラザーNO.1」「ゴッドファーザー・オブ・ソウル」「ミスターダイナマイト」など、たくさん呼び名がありました。オオナムジ(大穴牟遅神)も大物主神<オオモノヌシノカミ>、葦原色許男<アシハラノシコオ>、八千矛神<ヤチホコノカミ>、宇都志国玉神<ウツシクニタマノカミ>などの呼び名があります。それだけすごい男ということです。

ビシュヌの他名、多化身っぷりもこうやって説明してくれたらすぐに納得だわー。



<87ページ オオちゃんと小さい小さい神様 より>
五月女:ここではスクナビコナには、小石を拾ったり留守を守ったりしてもらいましたが、具体的にどうやって協力して国を造ったんでしょうか? 小さいと色々不便かと思うんですが。
オロチ博士:このペアは、古事記での登場は少しですが、他の書物ではオール阪神巨人のような長身と短身のペアとしてよく語られます。「風土記<ふどき>」ではスクナビコナが重い土を持ち、オオちゃんがウンコをがまんする競争をする話があります。結局オオちゃんが負け、スクナビコナの持ってた土は岡になったというので、小さくても力持ちです。

なにこのコンビ。興味わく!



<99ページ オオちゃんの国、いただき作戦>
五月女:ここは原文のままですが、アジスキタカヒコネが突然空を飛び去るところ、スーパーマンみたいでかっこよかったです。でも、なぜ急に空を飛んだのですか? それと、なぜワカヒコの嫁は急に歌を歌ったのですか? ミュージカルで突然歌いだす感じですか?
オロチ博士:急に思えるかもしれませんが、そもそも神は、空を飛ぶものと考えられていました。それから歌をうたうのは、歌のことばもメロディも呪力を持った特別な表現と考えられていたからです。
だから、思いを強調したいときに歌うのです。そういう意味ではミュージカルと同じだと思います。

「歌のことばもメロディも呪力を持った特別な表現」というのは、ギーターも一緒だなぁ。


ものすごく笑えるよ!