うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

観た映画・映像

疑惑(映画)

ただの真実しかない映画。なのに『疑惑』。ああ、わたしも岩下志麻さまに詰められたい。わたしの “ありかた” を導かれたい!こんな感想はヘンかな。でも、そのくらい登場人物たちの言葉のやりとりに引き込まれました。心を鬼にしないと生きていけない社会な…

PLAN75(映画)

余計な説明がなく絶妙なバランスで、いろいろ思い出したり考えることの多い映画でした。まるでドキュメンタリーのよう。この映画を観たきっかけは、少し前に読んだ平野啓一郎さんの小説『本心』とテーマが似ていて、ちょうどその時に自分で死を選ぶことがで…

ドキュメンタリー映画にあとになって価値が加わったと感じたときのこと

4月の満月オンラインヨガのあとに、わたしが観たドキュメンタリー映画『A』について話したいというかたがいらっしゃったので少しお話をうかがいました。 この映画です。 今日書くことは、そのときわたしが話したことの掘り下げです。この映画は、 いまのわた…

「A」 森達也監督(ドキュメンタリー映画)

教祖が逮捕された翌年の、残された信者たちの暮らしに入り込んだドキュメンタリー。数年前に本を読んでいたのですが、このたび映画を初めて観ました。 虫を殺さず近所へ逃がしに出かけるような生活をしている信者たちの戸惑いと、連帯責任をとれ! 謝れ!と…

すばらしき世界(映画)

刑務所から出てきた人の物語でした。主人公は、“正義” と “褒められたさ” が必ずセットになってしまう思考をする人。その人の行動と心のはたらきを描きながら、その思考原理に甘えているかぎり娑婆は息苦しい。その現実が続く。重い罪を犯した人は5年以内に…

世界で一番美しい少年(映画)

このブログを読んでくれている友人の勧めで観てきました。ドキュメンタリー映画です。わたしのフィルタを通した感想を待たれている気がするので、感覚が冷めないうちにアップします。 ***自分はその人の内面も含めてトータルで見ようとしているか。芸術作…

キューポラのある街(映画)

昨年のオリンピックをきっかけに、初回(1964年)との時代背景の違いについて考えることが増えています。この映画はオリンピックの2年前の映画で、よくこれだけの情報を100分に盛り込んだなと思うくらい、当時の庶民の生活を知ることができる映画でした。舞…

日々是好日(映画)

茶道を長くやっている女性のお話でした。畳の部屋と庭の映像を見ていると心が安らぎます。それと並行して描かれる日常、そこから侵食してくる心の乱れと波紋にはリアルな苦しみがあって、継続する練習に意味を持たせてくれるのは「長い自分の人生」であって…

マイ・インターン(映画)

2015年の映画です。おもしろくて3回観ました。 ヒューマン・ドラマとして重くならない最大限の工夫がされていて、そんな余裕がある爺さん、いるかーい!というくらい素敵なベン(ロバート・デ・ニーロ)と、一生懸命でキュートな社長・ジュールズ(アン・ハ…

キッチン(映画)

映画版の『キッチン』を観ました。1989年ですって!物語がとてもゆっくりと進んで、原作ではモノローグやセリフに入っている要素がインテリアに反映されています。 植物がいっぱいの家がふたつ出てきて、花屋も出てきて、ほかの意味でも花がたくさん登場しま…

食べて、祈って、恋をして(映画)

原作を読んだら映画を観たくなり、一度では拾いきれなくて二度観ました。あの分厚い、長い旅行記のような物語をどうやって2時間に収めるのだろうと思いながら観ていたのですが、第二部のインドと第三部のインドネシアは原作のエピソードが濃すぎるため、かな…

アラバマ物語(To Kill a Mockingbird / 映画)

友人の勧めで観ました。得体の知れないウイルスの登場によってあらわになった人々の意識について、お互いに思うことを話した時に教えてもらいました。ものすごく響きました。誰かを悪者だということにしたい、自分よりも社会的に害のある存在を決定づけたい…

大人の見る繪本 生れてはみたけれど(映画)

チャップリン以外の無声映画を初めてみました。小津安二郎監督の作品です。カラー映画「お早よう」の元ネタとも思えるような少年二人が主人公の物語なのですが、音がないぶん動きの表現が充実していて、ものすごくおもしろい!しかもラスト20分くらいがとに…

お早よう(Good Morning / 映画)

大人の世界と子供の世界を描いたおもしろい映画でした。定年退職する人が就職活動をしています。その人が「30年勤めて放り出される」と言っていて、どうも計算が合わないなと思ったら、この時代は(映画は1959年)定年の年齢が55歳だったんですね。ちなみに…

風の中の牝雞(映画)

タイトルは雌鶏、めんどりです。戦争から帰ってきた夫とその妻のトラブルを描いたもので、夫が妻を階段から突き落としたあと階下に降りるでもなく棒立ちで階上から「大丈夫か」といちおう言って眺めています。こういう、”不器用さからのDVも愛情表現のねじれ…

宗方姉妹(むねかたきょうだい / 映画)

テーマのわかりやすいドラマで、重たいところは高峰秀子が軽快に崩し、笠智衆がほぐしにくる。ものすごい布陣。悪い男はわかりやすく暴君で、いい男はわかりやすくいい人。 この物語には、妻に自分以外の初恋の人がいることで病む、まるで島崎藤村の「家」の…

桐島、部活やめるってよ(小説と映画) 朝井リョウ 著 / 吉田大八(監督)

映画を観たらひとり強烈な人がいて嫌な気持ちが起こり、確認したくて原作も読みました。その人物は沙奈という名前で、松岡茉優という女優さんが演じていました。この女優さんは精神性の再現職人ね。ああいる、こういう人……と、数々の嫌な印象が思い出されま…

彼岸花(Equinox Flower / 映画)

この映画はいろんなことに置き換えてみることができて、じわっと考えることが多いのがよいです。説得というのは外圧でできるものではなくて、相手の中に諦めがついて、やっと納得に変わっていく。そういう心の普遍的な題材をコメディで観せてくれる。 それに…

小早川家の秋(映画)

こばやかわではなく、こはやがわと読みます。変換しても出てこないわ! そう、この家はややこしいのです。いろいろ確認したいことがたくさんあって3回観ました。2時間弱の映画にいつもの嫁入り要素のほか、代々続く家の継承、大旦那の女遊び、若い娘の外国人…

早春(Early Spring / 映画)

1956年の映画で白黒です。二つのよくある問題が綱のように太く編んであり、どうにもうまいことひとつの物語にするもんですね。みんなふつうの人なのに、名言がいくつもありました。 恋愛沙汰にフォーカスすれば下世話だし、倦怠期の夫婦の状態に視点を移せば…

秋刀魚の味(An Autumn Afternoon / 映画)

今年に入ってから小津映画を観始めましたが、これは1962年の映画。字幕なしでも会話の意味が全部わかったのはこれが初めて。それまでは当時の言い方や固有名詞にわからないものがいくつかあって、いろんな昭和の言葉を知りました。この映画はおじさん同士の…

お茶漬けの味(映画)

こういう人ってどうして滅びないんだろ。まだまだ偉そうに上のポジションにのさばるんだろうな……とげんなりするほど嫌いだった人をこの上なく大好きになってしまった。そんな奇跡のような経験をしました。 小津安二郎監督の映画は同じ俳優さんがよく出てくる…

秋日和(Late Autumn / 映画)

初めて観るカラーの小津映画。色つきだとこんなにオシャレなのかと、とにかく全部画面キャプチャーしたい!と思うほどのインテリアと衣装の連続。なかでもわたしは「会社」「学校」「アパート」のシーンに毎回目が釘付けで、母親が勤める桑田服装学院のシー…

東京暮色(Tokyo Twilight / 映画)

ノリちゃん三部作を観終わってしまったので、「東京暮色」を観ました。この映画では原節子さんが孝子という名前の姉役でタカちゃんと呼ばれています。主人公は妹の明子(アキちゃん)で、有馬稲子さんという恐ろしくキュートな女優さん! このアキちゃんのフ…

東京物語(映画)

有名な映画を観ました。「晩春」「麦秋」「東京物語」は紀子三部作といわれているそうです。この映画では過去のシリーズでじわじわと頭角をあらわしていた女優・杉村春子がサッカーでいうリベロっていうのかな、ああいう感じの働きをされていて、登場人物が…

晩春(ばんしゅん・映画)

これは父親役の笠智衆による結婚説法を聴けるだけで、もうそれだけでありがたい映画。「なるんだよ、幸せに」の倒置が沁みる。娘役の原節子はさながら三蔵法師。ありがたいお経を求めて天竺ならぬ "他人の家" へ旅立つ僧侶の複雑な心の旅支度。── なのだけど…

放浪記(映画・成瀬巳喜男監督 1962年)

大晦日の夜に映画版の「放浪記」を観ました。レジリエンスをアップさせる特効薬の注入です。お金がないのに本を買っては売り、職場の新入りでありながら隙を見つけては文章を書き、夫にビンタされても蹴られても立ち上がる。原作の松田さん(前半に登場)と…

麦秋(ばくしゅう・映画)

はじめて小津映画なるものを観ました。想像以上のおもしろさで驚きました。かわいい娘を結婚させて片付けなければいけないという話なので、とにかく「片付ける」という語がよく出てくる。でも家族全員が、その人がいなくなったらめちゃくちゃ淋しいと思ってい…

あゝ野麦峠(映画)

出稼ぎの往来ルートの過酷さと季節ごとの景色の違いなど、さまざまな対比を巧みに組み合わせながら当時の多くの情報を伝えてくれる、すばらしい映画でした。ひとことでいえば当時多くあったブラック企業の現場の話なのだけど、社会背景もていねいに説明され…

危険なメソッド(映画)

ここしばらくザビーナ・シュピールラインに関する本を読んでいました。映画を観たくて、予習のために読みました。映画の原題は「A Dangerous Method」(そのまんまね)で、日本では2012年に公開されています。当時は知りませんでした。精神分析の黎明期の歴…