うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

インド思想

バガヴァッド・ギーター (インド古典叢書) 辻直四郎 著

以前から辻先生バージョンは最後に読もうと決めていました。 辻直四郎:1899年11月18日 - 1979年9月24日 鎧淳:1930年 - ? 上村勝彦:1944年3月 - 2003年1月24日 という順番なので。 以下のかたはもともと学者さんではなく、いうなれば「ハンパなくすごい主…

バガヴァッド・ギーター 鎧淳 訳

はじめに端的に感想を書くと、人気の田中嫺玉さんが俵万智だとしたら、鎧先生は松尾芭蕉です。「兵・精兵(つわもの)」という表現がいっぱい出てくるので、毎度「出た! 芭蕉」と思いながら読んでいたら楽しくなってしまいました。「対立の惑い」なんて表現…

イラッときたら、サーンキヤ

ある日のこと。漱石グルジの小説を愛する人たちとの談話の中で、カントの哲学を愛好している人のなにげないひと言に、サーンキャ哲学との共通点を感じました。 最近の日本語にも、主体の責任を負わない表現が増えてきましたね。「イライラする」も「イラッと…

インドの「二元論哲学」を読む ― イーシュヴァラクリシュナ『サーンキヤ・カーリカー』 宮元啓一 著

サーンキヤ学派の代表的教典「サーンキヤ・カーリカー」の日本語版解説書です。手に入りやすいものだと、このほかには「バラモン教典」に収録されたものがあります。注釈書というのは表面的な文面での「わかりやすい」「わかりにくい」で語るものではないし…

なぜインド哲学をむずかしいと感じるのか

インドの哲学やヨーガの思想を学んでいると、じわじわ見えてくることがあります。この学問特有の雰囲気なのですが、これはとても説明がむずかしい。日本には註解を重ねていくコメンタリー文化が定着していないので、たとえが見つからない。日本の有名な書で…

聖書の「伝道の書」がローカーヤタ派っぽくておもしろい

記事のカテゴリが「インド思想」になっていますが、聖書の話です。 「日本人は知らなすぎる 聖書の常識」のなかに「リアリズムに満ちた伝道の書」という章があり、ここにあった内容がかなりおもしろい。 富、政治、正義、知識。どれにも期待せずバッサバッサ…

三つの苦しみ

夏目漱石の小説「草枕」の冒頭に、こんな有名なフレーズがあります。 智に働けば角が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。 夏目漱石はインドのサーンキヤ学派の「三苦」の影響を受けていたという説がある…

聞き書き抄 解説ヨーガ・スートラ 第八講(日本ヨーガ禅道友会)

第七講まではサマーディとサマーパッティの話でしたが、ここからサーンキヤの背景を踏まえた心理学の部分に入っていきます。佐保田先生はサーンキヤを「すうろん(数論)」と口語で話されていたようです。とても家庭的な喩えが特徴で、プルシャとプラクリテ…

シュリーマッド・バガヴァッド・ギーター 日本ヴェーダーンタ協会

こちらのギーターは歌会や暗唱会向きで カタカナ音表記 日本語訳 アルファベット表記 が記載されています。 田中燗玉さんの訳(神の詩)を下敷きにしつつも、たとえば4章22節では田中燗玉さん版が冒頭を「無理なく入ってくるもので満足し」としているところ…

日本の「良心」は「呵責」するのふしぎー!

よく日本語の不思議について外国人目線で書いていますが、わたしは日本人です(笑)。 日本人なのですが、インドのざまざまな教義の表現に触れていると、やはり日常の日本語には独特の縛りがあると感じます。 頭がインド・モードのまま聞くと、「良心の呵責…

インドの哲学体系2 中村元 著(14章サーンキヤ、15章ヨーガ、16章シャンカラ学派)

先日紹介した本の続きです。サーンキヤとヨーガはもともと少し学んでいたので、それをヴェーダーンタの学者さんの視点で解説されているのがすごくおもしろかった。まあだいたい註解書を読んでいる間は著者に恋するわたしなので「マーダヴァさん、頭よすぎ。…

インドの哲学体系2 中村元 著(12章:ミーマンサー学派、13章:文法学派)

インドの哲学体系のうち主要な16種類を叙述した概説書『サルヴァダルシャナ・サングラハ(Sarvadarsanasamgraha)』(14世紀、マーダヴァ著)の訳本が2冊構成で出ているうちの、後編の一冊を読みました。後編にはミーマンサー、文法学、サーンキヤ、ヨーガ、ヴ…

聞き書き抄 解説ヨーガ・スートラ 第七講(日本ヨーガ禅道友会)

「第六講」に引き続き、サマーディとサマーパッティのあたりです。 ヨーガスートラの1章17節と連動する42節の有尋定・43節の無尋定の記述は、構成上くっつけておいて欲しい気もするし、「なんでわざわざ三昧を二つに分けてそんなに長く語るのか」という気も…

カルマ・ヨーガ 働きのヨーガ スワミ・ヴィヴェーカーナンダ(再読)

ここ1ヶ月ほど、ギーターについてさまざまな局面での解釈を思いなおしていました。ギーターの解説本の役割も果たすこの書はわたしにとって「ものさし」のような役割をしてくれる本で、以前読んだときにメモしたことまた違う部分が心に刺さっている自分の状況…

ヴェーダーンタ思想の展開 中村元 著

年末は図書館の休館日が長いので、そこを見越して借りてみたのですが、んま〜、濃い内容でした。 ヴェーダーンタ軸(おもにシャンカラ)で他の教義との違いが書かれているので、ヨーガとサーンキヤを別の角度から再認識することができました。 時代感として…

「目的がないから動けない」のではない

「ヴェーダーンタ・サーラ」という15世紀の教典は、サーンキヤもヨーガも取り込めるものは取り込んでいる、かなりおもしろいものなのですが、これを読んでいると夏目漱石の「こころ」の分解描写におののきます。えええまたそっちに持ってくのー? って、もう…

覆蔽力と展現力(「よくない妄想」のヴェーダーンタ式分解)

ヴェーダーンタのマーヤー説のすごいところは、ヴェーダーンタ・サーラの66節の、これに尽きるなぁ、と思う。 この無知にどのような能力(sakti)があるかというと、覆蔽力と展現力との二種類がある。 「ヴェーダーンタ思想の展開(中村元 著)」のなかでこ…

ヴェーダーンタ・サーラ(「ヴェーダーンタ思想の展開」中村元 著」より)

「ヴェーダーンタ思想の展開(中村元 著)」にあった『ヴェーダーンタ・サーラ』を紹介します。 よくいうインド哲学の「哲学」の部分はサンスクリット語だとDarshan「ダルシャン」という単語が使われることが多くて、これは中村先生の説明(P105)によると、…

宝彩有菜のバガヴァッド・ギーター(全巻/Kindle)

瞑想を科学的に指導する人の目線でのギーター解説書。キンドルで見つけたので読んでみました。 著者さんによる解説と、「笑雲(先生)」「小松茸(弟子)」の対話仕立ての構成で、バガヴァッド・ギーターのなかの瞑想の修行に関する部分のみを抜き出して解説…

ヨガの封建制度(「ヴェーダーンタ思想の展開」より)

ヨーガを思想も含めて学ぶようになればなるほど、おもしろくなる封建制度的な師弟関係の話。 「師弟関係」は、昔は太かったのが段々薄くなって、でもすごく大事なんだよ。という理解がほとんどだと思うのですが、この「忠誠」ノリは、普通に古典を読むとヨー…

聞き書き抄 解説ヨーガ・スートラ 第六講(日本ヨーガ禅道友会)

第五講で「瞑想」の説明に入っていますが、第五講では1章17・18節と42節以降がリンクする有定無定のあたりを掘り下げています。だいたいどこでもヨーガ・スートラの講義のメインイベントになるであろう、このあたりですが ここでまたサマーディとあってね、…

神の詩 バガヴァッド・ギーター 田中嫺玉 著

まるで「フランダースの犬」を見ているかのような気分になる訳。これは手元においておきたくなる。 我が家にはここで紹介したことのある「上村勝彦訳版」「バラモン教典の収録版」のほかに、バクティ・ヴェーダーンタ版など5冊のギーターがあるのですが、こ…

聞き書き抄 解説ヨーガ・スートラ 第五講(日本ヨーガ禅道友会)

しばらくサーンキヤがマイ・ブームになってしまい、こちらのほうは半年振りになりますが、「第一講」「第二講」「第三講」「第四講」に続いて、第五講からの紹介です。ここは三・一からの「瞑想」について掘り下げます。池田書店版の「ヨーガ入門」にあった…

Samkhya Darshan / Swami Niranjanananda Saraswati 著

英文の本で、巻末付録にイーシュヴァラクリシュナのサーンキヤ・カーリカーが収録されています。 さきに巻末の教典を私訳してから前段の解説部を読みましたが、英語辞書とサンスクリット語辞書を参照しながらだったので、読了に1年かかりました。 わたしはヨ…

バガヴァッド・ギーターのiPhoneアプリ

バガヴァッド・ギーターはヒンドゥーなインド人にとっては聖書のような存在。 ヨーガの聖典はヨーガ・スートラなんでしょ、と思われるかもしれませんが、ヨーガ・スートラ(以後「Y.S.」)は時代的に仏教をはじめとするインド哲学の面々が悟りと解脱について…

夏目漱石とパタンジャリ

わたくしただいま、空前の夏目漱石ブームのなかにおります。 理由はいくつもあったのですが、それはいずれ本の感想に書くとして、夏目漱石って千円札以外にどんなイメージがあったっけ。 わたしの印象は学校の教科書で読んだ「こころ」で、「なんでこんなに…

バラモン教典 原始仏典(サーンキャ・カーリカー、ヨーガ・スートラほか)

世界の名著 (1) という中央公論社のシリーズ書籍。わたしは知人のヨガ講師の方からいただいたのですが(感謝)、中古で手に入れることができます。 冒頭に「インド思想の潮流」の解説と、以下の訳が収められています。 ■バラモン教典 ウパニシャッド(有名な…

ヨーガ古典翻訳マラソン。そして空海フィーバー

去年の11月頃からつい最近まで、翻訳作業(英語から日本語)をしていました。 翻訳作業は、日常の合間にちょぼちょぼやって足掛け10ヶ月。ヨーガ周辺の古典を英語版から訳してみました。 訳してみたのは「ゴーラクシャ・シャタカ(GS)」「ハタ・ヨーガ・プラ…

サーンキャ二元論への、H・V・ギュンター博士による鮮やかな指摘

ヨーガの哲学を学んでいるともれなくついてくるサーンキャ哲学ですが、かねてより「なんかヘン」と思っているところがありました。自分で説明をするときには、あえてマイトロジカルな要素や「男性原理と女性原理」の説明のいらない喩えを用いてきたのですが…

マリー・アントワネットのようなインド思想もある

マリー・アントワネットが「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」と、本当に言ったかどうか知らないのですが、インド思想の中にもこれと似たノリの思想があります。 お金がないなら、借りたらいいじゃない♪ わたしこれ、けっこう好きなんです。わた…