インド思想
人にはいろいろな心の状態がありますが、自分の中でそれを示す言葉のバリエーションが少ないことを知らぬまま年齢を重ねてあれよあれよと数十年。わたしは30代の後半からサンスクリット語の単語にたくさん触れるようになり、こんなふうに "穏やかでない" と…
シヴァ信仰のヨーガの教典です。論文というほうが近いかもしれません。日本語訳が出ていないので、自分で日本語化しながら読みました。 どれがこの本のタイトルか、今回は件名に迷いましたが「Siddhasiddhantapaddhatih」というテキスト(Natha philosophy …
たとえば「無邪気にやってしまった」ことが相手にとっては迷惑で、相手にとがめられたとします。一瞬「よかれと思って…」と心の中でつぶやいてみるものの、それでも反省のためにいま一度自分の行為の構成を分解してみる。そこで見えた「無邪気さ」や「よかれ…
先日、美容室にあったHuluで「モンキー・マジック 孫悟空誕生」という映画を半分くらい観たのですが、孫悟空が桃を食べるシーンで「そうそう、これこれ」と思う挙動がありました。わたしが子どもの頃にテレビで観ていた西遊記では、猪八戒も同じような食べ方…
ラーマーヤナに登場するハヌマーンは孫悟空のモデルといわれたりしていますが、なんのなんの。この物語のフォーマットそのものに西遊記があふれています。 「悪=悪」の一辺倒ではない物語の構成、悪者の葬式でこんなに泣かせる話があるものかという展開。た…
職場にあった行動マーケティングの本を読んでいたら、説明に「朝三暮四」という諺(ことわざ)が出てきて、はじめてその諺を知りました。由来は、以下のことだそう。 中国、宋の狙公(そこう)が、飼っている猿にトチの実を与えるのに、朝に三つ、暮れに四つや…
今月のはじめは新潟県で過ごしていました。 新潟県内で行動していると、なんとなく駅やお店で聞こえてくる会話のなかにご当地フレーズがあって、いろいろ拾う中に、すごいのがありました。 のめしこき これ、ネイティブならわかるフレーズかと思うのですが、…
ここで三点倒立のことをよく書いていますが、わたしはヨガのクラスにアームバランスや倒立を積極的に取り入れています。 理由はいくつもあるのですが、そのひとつとして「自分がパニックになるときの性質のヒントを得やすい」というのがあります。 他人に言…
これはわたしが何年もヨガニードラをガイドするなかで考え続けていることです。 ヨガニードラで唱えるサンカルパは、内観が進むほど、より組み立てが主体的になっていきます。 自己に向き合うという段階を踏もうとすると、そのように変わっていきます。 こと…
夏に東京で久しぶりに「坊つちゃん」の読書会をやりました。「坊つちゃん」での開催は何度目かなので、わたしがかねてよりテーマとして設定してみたかった「怒り」にフォーカスをあてた構成で行いました。 ご案内の時点で、事前に下敷きのように念頭におくギ…
わたしはここでいくつも旅行記を書いていますが、ブログを読んでいる人から「わたしも遠くへ行ってみることにしました」と言われるとうれしいです。自分でいつのまにか自分を縛っているような、そういう状況から少し離れるきっかけになっていたら、うれしい…
「痩せますか?」「姿勢が良くなりますか?」と同じような感じで、質問したいけどできないと思っている人の多いであろう「ヨガで性格は治りますか?」(ヨガで性格は変わるか・変えられるか)という問い。 いつかゆっくり書こうと思っていたことを、今日はじ…
この春はバタバタといろいろな人の価値観や正義感を見聞きすることがあって、わたしは直接聞いたもの以外はスルーすることが多いのですが、それでも自分の視点にはない主張を聞くと、自分の中の北極星を確認したくなる。そんなときがあります。 わたしはそん…
若い人は使うのかわかりませんが、わりとわたしの周辺で使う人の多い表現に 耳をダンボにする というのがあります。 ある特定の話題が気になって、そっちに集中して意識が向かう様子が、まるで耳の形をダンボのように大きくしているというイメージ。 実際、…
この映画は1995年作で日本では1998年から上映。もう20年前なんですね。そらわしもオバハンになるわ! この映画が流行ったころはインドのことをまったく知らなかったわたしですが、今は少しインドのことを知り、先日観たらいろいろ沁みました。この映画は伏線…
] これは「クリシュナ意識国際協会版」という感じで、そこから出ているシュローカ本です。協会から出てるシュローカ本(うた本)では以前に「日本ヴェーダーンタ協会」のものを紹介したことがあります。 ここで紹介していなかったのにはいくつか理由があって…
年末年始にゆっくり読もうと思っていた本なのだけど、読み始めたら思いのほかスルスル進む。対談でもないのに口語調で親しみやすいなぁと思っていたら、この本は上村勝彦さんが1995年4月〜9月にNHKラジオ第二放送「文化セミナー・心の探求」で「古代インドの…
自著が少なく主に注釈者であったシャンカラ。 この「ウパデーシャ・サーハスリー」も序盤はウパニシャッドからの引用が多い状態ではじまるのですが、途中からシャンカラ的「人たらしの技術」のようなものが炸裂しており、思わず引き込まれます。この人の言葉…
これはインドで買って自分で訳しつつ読んだ紙の本です。スワミと博士の共著本。最も古いといわれるハタ・ヨーガ教典の出典をあちこちに求めてまとめた労作。 デーヴァナガーリー(あのごにょごにょした文字)と英訳と解説で、ローマナイズ(ごにょごにょの音…
Swami Vishnuswaroop というかたがハタ・ヨーガの古典を英訳しKindleで出してくれているなかの一冊。正式名称は「Goraksha Samhita: Goraksha Paddhati: The Yogic Path of Guru Gorakhanath」と長い。 これまで「ハタ・ヨーガ・プラディピカー」「ゲーラン…
この本は前半でインド思想の歴史がわかりやすくまとめられ、中盤はシャンカラの思想を紐解いています。 思想を紐解くといっても シャンカラには独立作品は一つしかなく、たいてい彼は、権威ある作品に対する註釈という形で思想を表現しているのだが、その註…
ブラフマ・スートラの序論と第1章1〜4をシャンカラが注釈したものを解説する本です。 シャンカラはアドヴァイタ・ヴェーダーンタの思想家でありながら、注釈者というスタンスをとっていたため、後世もあちこちに登場します。 わたしはヨーガとサーンキヤ以外…
わたしはベストセラーになった養老孟司さんの「バカの壁」を読んだとき、バガヴァッド・ギーターに書いてあることみたいだな…、と思いました。 先日東京のギーター会で、そう思うきっかけになった節を選定された方がいらっしゃいました。 そのかたは田中嫺玉…
これはインドで買って以来、参考書のようにたまに開く本です。いまはこれがキンドルで買えます。すばらしい。 スワミ・ラマの解説はかなりビジネスマン向きで、わたしはこのトーンが好きです。インドの聖典や教典を解説するスワミはたくさんいるなか、パラマ…
まえに「ジョージ・ハリスンのアイ・ミー・マイン(I Me Mine)」というのを書いたのですが、この曲名をWikipediaで見ると、 歌詞の内容は「いつもいつも僕が、僕が、僕が」と主張する人間のエゴを痛烈に皮肉ったもので、ジョージ自身は『バガヴァッド・ギー…
すばらしく読みやすい、おすすめのギーター訳を見つけました。 出版が2013年なのでわりと最近です。日本語選びにほどよく抑制がきいているうえ、カッコ書きに入れるワードの選定、またときにカッコ書きをいれずにサンスクリット語のカナ書きで終わらせる選択…
東京でバガヴァッド・ギーター読書会を再スタートした時のこと。いつものノートを一冊持参していたので、流れで「写ギーター」の話をしたら印象深かったそうなので、ここでもテキスト化します。 写ギーターというのは写経のようにギーターを書き写すことで、…
わたしはインド思想や哲学のクラスで「日本語はこころのはたらきを表現する言葉が少ない」という話をすることがあります。それは前にこのブログでも書きました。 わたしが説明をするときは「思う」というこころの動詞を題材に使いますが、もう少し入りこんで…
今日の画像は先日広島県・宮島で出会った、今回のテーマにぴったりの三蔵法師像です。こわーいよぉ〜。 先月から「玄奘三蔵 ― 西域・インド紀行」を再読していたのですが、この本にはたいへんおもしろいエピソードがあります。 おもしろエピソードまでのあら…
わたしは書きものや作りもので夢中になると、あまり食べません。 朝起きてそのまま作業を始めて、2時間くらいして「ああ、おなかすいたなぁ」と思いながら3時間ほど作業を続ける、ということがあります。ちょっと違うことを脳みその3割くらいでチラチラ考え…