うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

釈迦(1961年の映画 三隅研次監督)

60年代の大映映画「釈迦」を観ました。この映画の感想はどんな角度で書いたらいいやら…というくらい、盛りだくさんです。わたしは70年代生まれなので、出演している俳優さんで知っているのは3割ほど。特捜最前線のダンディなおじさまと釈迦を一致させること…

複雑じゃない疲れ方なんてない

先日友人と「晩菊」という小説の中のすばらしい表現について話しながら、つくづく思うことがありました。この小説は年下の元カレと再会する女性の話で、その時の描写がとにかくリアル。わたしは「晩菊」の映画版が好きな友人の熱弁ぶりからフーミン・ワール…

不良少年とキリスト 坂口安吾 著

短いエッセイのような文章なのでパソコンでするすると読み終えてしまったのだけど、どうにも心に残るものが大きいテキストでした。太宰治の小説「斜陽」の文章に触れられているというので、ただの興味で読み始めました。太宰治が「如是我聞」という文章で使…

犬  中勘助 著

こんなにも設定が生きる小説ってあるのかと、読み終えてあらためて驚きました。加害者が加害者たりえる言い分と、被害者が被害者たりえる世界の仕組みが完全に合致している。被害者がただ生きるか死ぬかを選ぶシンプルな判断で物語が進んでいく。 身体が生き…

島守 中勘助 著

最初に背景も状況も説明されている。いわば出オチであるのに、先へ進むごとにその世界へ連れていかれて、あれこの人ってどういう状況の人なんだったっけと冒頭に戻る。主人公は湖のなかの小島の番人のようなことをしている人で、ひとりで島にいる。食べ物な…

布フィルターのメンバー補充。柿渋リネンの珈琲フィルター(タロケイ・みちば屋)

家にいる時間が増えてからコーヒーを淹れる機会が増え、そうこうしているうちに布フィルターのひとつに穴があき始めました。わたしがもともと愛用していたのは中川政七商店で買った茶巾生地のコーヒーフィルターで、このお店は銀座の練習場所の近くにあり(G…

斜陽 太宰治 著

映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」があまりにもおもしろくて、この映画の女たちの関係をつなぐ作品「斜陽」を読みました。先に映画を観てから読んだので、あのセリフはこの本からとっていたのか、ということがわかって、ちょっと元ネタ探しのようなおも…

一定のリズムの音楽で心の色調を整える。最近ヘビロテの3曲

音楽や映画のことは書き始めるとどんどんヨガブログでなくなっていくのであまり書かないようにしているのですが、いまは視覚よりも聴覚から心を整える効果が絶大。 多くの人が不安になるとき、文字情報は大げさな表現で人々のアテンションを集めるべく加速し…

パリの砂漠、東京の蜃気楼 金原ひとみ 著

はじめはハイピッチでどんどん読みたくなったけれど、文章に慣れてきたら落ち着いたペースで読めるようになりました。 落ち着いたペースで読めるようになったのは、情報が負担にならないように書かれているから。わたしは一度ギアが入ったらこのリズムを逃す…

どこまでも主張を消そうとするキャラクターがキャラクターであるというジレンマからの学び

たいへんです。またジレンマに陥りました。もう沼。すんごい沼。ぜんぜん出てこれない。先日友人が、ぼーどびるでゅおの話おもしろかった! というメッセージをくれて、あらそんなに? と嬉しくなってまたザ・ボードビルデュオのページを見に行ったら、「こ…

成田山新勝寺 平和大塔と釈迦堂へ(千葉県・成田市)

むかしばなしの続きです。行ってみたら想像以上に広かった成田山新勝寺は、奥にたくさん見どころがあります。なかでも平和大塔はまるで高野山の根本大塔のよう。なのに周辺はまったく違う雰囲気。幻想世界へ迷い込んだようでした。 額堂・開山堂・光明堂・弘…

成田山新勝寺はおもしろい見どころがいっぱい(千葉県・成田市)

むかしばなしの続きです。なぜここへ行ったかといったらそれはお不動様のいらっしゃるお寺だから。だったのですが、途中から彫刻ばかり追いかけていました。 総門と仁王門と広目天&多聞天 到着するとふたつの門をくぐることになります。 入り口のこういう文…

成田駅から成田山新勝寺まで表参道を歩く(千葉県・成田市)

むかぁ~しむかし、まだこの世がいくぶん呑気であった頃のことじゃった。おばあさんとおばあさんで、成田山へ心の洗濯に行ってまいりました。ほんの数か月前のことなのに、昔々のことのように感じます。 JR成田駅と京成成田駅はほんの数十メートルくらい離れ…

転変と展変、瞑想と冥想。文字を選択するときに考えること

数年前に夏目漱石の小説にハマった頃の理由のひとつに「瞑想と冥想の書き分けをしている」というのがありました。気づいたときにはかなりゾクッとしました。こういうゾクッが生きていることの愉しみだと思っています。 先日、確認したいことがあって久しぶり…

スワンダイブの瞬間にも目撃していました。たぶん…(五十肩捜索中)

もう完全に五十肩であることに自信がなくなってきました。なんなら四十肩でもないのでしょう。昨年の自分にずいぶん大きく出たもんだねと言ってやりたい。でも、わたし見たんです。あのときは、そうだったんです。 スワンダイブの瞬間にも目撃していました …

アナウンスと注意書きが多いなかで、事実だけを受け取るフィルタリング機能のこと

「日本はアナウンスが多い。電車でもアナウンスばかりしている。うるさい」数年前に知人Nさんの弟さんがクロアチア出張から戻った直後に、このように言っていたそう。うなずきながら、わたしは視覚的にも案内と但し書きばかりで非常に疲れるという話をしま…

箱男 安部公房 著

満月の日に制御できなくなったエネルギーで書いたような、ホルモンバランスの乱れた、というか溢れた臭気がたっぷり。ラム酒を入れすぎた洋菓子みたいなこういう精神のワイルドさのようなものって、当時の人にウケたんだろうなと思いながら読みました。覗き…

如是我聞 太宰治 著

先日観た映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」の終盤に「如是我聞」を書いている場面があり、気になって読みました。これを読んでしまうと、惚れてしまいます。これは非常にまずい。内容はおおむね志賀直哉への悪口なのだけど、その悪口の根拠として語られ…

ペスト カミュ著/宮崎嶺雄(翻訳)

恐れるべき対象そのものを感じる力がどうにも沸いてこない。変化し続ける状況に疲弊するだけでめいっぱいだよというわたしのような人は、健康のためにこの本を読むとよいでしょう。わたしは実際、この本をちまちま読み進めていた3週間がとても貴重な認識のト…

(再読)あなたは、なぜ、つながれないのか 高石宏輔 著

昨年の秋に「プロカウンセラーの共感の技術」という本を読みながらこの本のことを思い出し、この二冊を連続して読んだらどんなことを感じるだろうと思い、再読しました。はじめて読んだのは2015年で、この本が出た年でした。 その後数年を経て再読したくなっ…

クンダリニー ゴーピ・クリシュナ著 / 中島巌(翻訳)

この本は、練習の予備知識のないまま毎日瞑想をしてクンダリニーが覚醒してしまった人の振り返り自伝です。このように書かれています。 しばしば私は、この驚くべき光る力の働きを唖然として眺めていた。クンダリニーが私の中ですっかり覚醒したことにもはや…

名もなきポジションを守る存在

今日書くことは賛辞。でもタイトルを「名もなき」としてしまったから、「ちゃんと名前があるんですけど!」と怒り出す人がいるかもしれないな。こんな無粋なエクスキューズを冒頭に書かなければならないなんて、めんどくさい世の中ねぇまったく。 ざぼーどび…

(再読)インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯 田中嫺玉 著

7年前にこの本を読んだ時の感想を読み返したら、サブちゃん×ジョージの関係を想起したとありました。あれから時は流れ、再読してみて想起したのはジャニー喜多川さん×タッキーさんであり、恵果さま×空海さまの関係でもありました。なんでそんな感想になるの…

しがみつくにしても、ただ運ばれるにしても、自我の放棄が必要なのね

インド思想を学んでいると、よくここまで要点を絞り込んだなという問いがたくさんあります。そのなかでも格別なインパクトですっかり覚えてしまったものに、猿の道・猫の道というのがあります。信じるということはどういうことか。その方法について論争があ…

人間失格 太宰治と3人の女たち(映画)

求められると、つい。 「断れない」という感情はどこでどう種火に油が注がれて煽られて取り返しがつかなくなるのか。太宰治はこのメカニズムをとことん掘り下げるから毒だ。やっぱり毒だ。 この映画は友人が興奮気味に感想を語っていて、その話に乗っかりた…