冒頭が映画「七人の侍」の話から始まるからこの表紙なのか! と思いながら読み進める序盤は、いますぐ観たくなる映画レビューのようなおもしろさ。
そこから入っていく核心は、むやみにツルんでもいいことないぞという話。若者には「ぼっち」という言葉があるようだから、若者向けの本かと思いきや・・・
人は合理的に動いていない組織に長期間属していると、物事をロジカルに考える能力が確実に低下していく。そういう組織に順応すればするほど頭が悪くなり、組織に順応することができなければ精神を病むことになる。順応しきってしまった人は自覚症状を持つことができないまま、言い訳能力と、自己欺瞞力だけが向上していくのである。
(第1章 秘密結社をつくれ やりたい仕事、属したい組織がなければ自らつくるしかない より)
この本は2013年の出版。この頃はわりとしれっと「頭が悪い」という表現がこういう本でも使われていたのだなと思いつつ、この年齢になったわたしがうなずくのは、言い訳能力と自己欺瞞力の向上という弊害。何歳になってもひとりで葛藤できるって、だいじ。
以下は来年の自分の課題としていまから設定していることだったので、その説明のしかたが印象に残りました。
大切なのは、「冗長性の少ないネットワーク」をなるべく多く持つことだ。冗長性とは情報科学でよく使われる言葉で、「無駄な重複がある状態」のことを言う。つまり「冗長性の少ないネットワーク」とは、自分がこれまで所属してきたネットワークと、重なる部分が少ないネットワークのことだ。
より簡単にいえば「自分のことを知らない人たち」ばかりがいるネットワークのほうが、自分にとって価値が高いということである。
(第5章 チームアプローチはあなたと世界をどう変えるか 非公式な組織に所属せよ より)
いま居る場所の延長ではないネットワークに飛び込んでいかなくちゃ。
以下の箇所は耳が痛かったけれど、ちょっと腐りかけてると思ったら何度も読み返したい。
モノも知識も、たくさん持ちすぎると、それを自分がコントロールしていると思っていながら、逆にそれらに縛られてしまうということがある。いわゆる「専門バカ」というのがそれだ。ある分野については膨大な知識を持っているがゆえに、それ以外の視点からは物事が見えなくなってしまうのだ。
(第2章 本当の「よいチーム」とはなにか ロックフェラーのブラックブック より)
将来得意技が出せる場所へ腕まくりしに行くような行為の選択だけはしないように、苦手なことにもトライしよう。
東京の中心部で行動していると、駅の構内や道でばったり知人に会うことがあるのだけど、会ってそのまま「いま時間ある? お茶しよ!」となるのは、いい仕事やアクティブな交歓をした記憶のある人。そんなときはお互い無理やり時間を作る。仲間っていいもんだなと思うことがある。
「自己紹介」について書かれた章にはずっと心に留めておきたいことが書かれていて、それはわたしが集中と選択で気持ちを整理したいと考えていたこと。なにちょっとやだこれ啓示? というくらい。来年の具体的な課題が降ってきました。
- 作者: 瀧本哲史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/11/13
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (10件) を見る